末期がんの依頼者と一緒に無言で歩いた「レンタルなんもしない人」の投稿が話題 「歩けて幸せ」「凄い、素敵な仕事ですね」

「『一緒に歩いてほしい』という依頼。東京駅周辺を適当に、とくに会話もなく一緒に歩いた。解散後に知ったが、末期ガンで病院や家から抜け出し仕事も家族も全部捨て、ただただまた歩きたかったんだそう。久しぶりに自分の足でたくさん歩けて嬉しかった、散歩の楽しさを思い出せたとのことで何よりでした」

「ただそこにいること」をなりわい、仕事としている「レンタルなんもしない人」さん(@morimotoshoji)。「一緒に歩いてほしい」という依頼をしてきた人が解散後、末期がんだったと知ったことをTwitterに投稿したところ、14万超のいいねがつき話題を呼びました。

■病院や家から抜け出して仕事も家族も全部捨て、ただただまた歩きたかったという依頼者の願いを叶えた

「レンタルなんもしない人」さんによると、依頼者さんからこんなお礼のDM(一部抜粋)を受け取ったとか。

「・・・歩く速度も息をするのがやっとでかなりゆっくりだったと思います。

本当は会話をしながらも好きだったのですが、呼吸するのがやっとで友達とだと黙ってただ隣を歩いてとは言えず、たまたまTwitterのおすすめで見かけなんもしないならとお声掛けさせて頂きました! 残り少ない時間を友達と過ごすと悲しくなりそうだったので全く知らない人が欲しかったんです。

久しぶりに沢山自分の足でたくさん歩けてとても嬉しかったです! 

病院では車椅子だったので自分の足で散歩の楽しさを思い出しました!

ありがとうございます!」

そんな仕事ぶりに「いい仕事をした」「素晴らしいことをした」と称賛する人たちや、依頼者さんが歩けたことに感動した人たちなどからたくさんのコメントが寄せられています。

「これが誰かの為になる仕事か」

「レンタルなんもしない人にしかできない凄い仕事ですね」

「人の気持ちをわかったつもりになる事の危うさが改めてわかった気がした。本人の事は本人にしかわからない。わかったつもりで誰かの為に、なんてのは自己満足もいいところ。この発想はなかった。素敵な仕事です」

「病院では車椅子だったのに、ちゃんと自分の足で歩けたんですね。凄い」

「歩けて幸せだったでしょうね♡」

「つまらない毎日だと思っていたけど貴方に何も頼み事がない私は幸せなのかも

もっと大事に生きなくちゃとありがとうございました」

「なんもしないはずが結局とてつもなく素晴らしい事をしてしまった」

今回「一緒に歩いてほしい」という依頼を通じて、どう思いどう感じたか・・・「レンタルなんもしない人」さんに聞きました。

■「なんもしない」仕事、「やってて良かった」はいつもよく思っていること

--「一緒に歩いてほしい」という依頼内容について、最初はどう思った?

「『一緒に歩いてほしい』という依頼は初めてではないです。『了解です』と思うのみでした」

--末期がんだったという依頼者さんは、病院では車いすだったとか。一緒に歩いたときの様子は。

「ただ無言で歩きました。スピードはゆっくりめですが、そこまでめちゃくちゃゆっくりではなかったです」

--解散後、末期がんだったことや歩きたかった理由など依頼者さんからお礼のDMを受け取ったとき、どう感じた?

「なるほど。そういう事情があったんだ、へ~と思いました」

--お礼のDMを受け取ったとき、今のお仕事を「やってて良かった」と思いましたか。

「今回のご依頼ももちろんのこと、『やってて良かった』はいつもよく思っていることです」

--「なんもしない」お仕事を始めたきっかけは?

「始めたのは2018年6月からです。いろいろ仕事をしてみましたが、どれも続かないので『なんかするの向いてない』と思いました。また学生時代の文化祭の準備や社会人での共同作業、飲み会、バーベキューなどで『お前はなんもしないな』とよく言われてたので・・・『なんもしない』が自分のコンプレックスだったんです。

でも、ある日『プロ奢ラレヤー』という『人に飯を奢られること』をサービスとして提供している人の存在を知り、今まで価値だと思われていなかったものを逆にウリにすることを自分もやってみようと。それならコンプレックスである『なんもしない』をウリにしてみよう、それが需要があるのか、あるとしたらどんな需要があるのかということを探りながら興味を持って始めました」

--現在受けている依頼件数や内容なども教えてください。

「毎月50件くらいの依頼を受けています。内容は『行ってみたいところがあるが1人で行きたくないので同行してほしい』『身近な人には言えない話を聞いてほしい』『出生届を出さないといけないが諸事情で家族や友達は頼れず自分で出しにいかないといけないので付き添ってほしい』『デパコス売り場に恥ずかしくて入れないのでついてきてほしい』『ただ一緒に歩いてほしい』など、いろいろです」

末期がんという依頼者さんの願いを叶えた「レンタルなんもしない人」さんの仕事。なんにもしてないのではなくて、一人ひとりの人に寄り添う素敵な仕事ですね。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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