鬼伝説がまさかのTVアニメ化!?「転生したら鬼退治を命じられました」 福知山市が初のテレビCM放映

 京都府福知山市がまた大胆な手に打って出た。市内に伝わる「大江山鬼伝説」をアニメ化して話題になった作品「転生したら鬼退治を命じられました」(以下「転鬼」全24話)を、今度はCMとして21日からテレビ大阪で放映している。29日まで。市がCMを手がけるのは初めてで、あの「鬼滅の刃」の声優、小西克幸さんらが出演。夏休みの観光シーズンに向け、福知山のPRにひと役買っている。

 「転鬼」は福知山市内に残る「大江山鬼伝説」の絵巻物を現代風にアレンジし、WEB上で短編アニメ化したものだ。昨年12月に制作されると、企業や団体によるショートフィルムの祭典「BRANDED SHORTS 2022」観光映像大賞のファイナリストになるなど注目を集めた。

 しかし、福知山市がユニークなのはここから。折からの「鬼ブーム」に合わせ、鬼伝説を広く知ってもらい、観光PRにつなげるため、いまある素材を生かし切ろうと考えたのだ。これこそ、福知山にゆかりのある戦国武将、明智光秀のスピリッツを受け継いだかのような行動。6分50秒からなるアニメを基に1話15秒、全24話のCMに再編集し、この21日からテレビ大阪で放映を始めた。

 市にとって初めてのテレビCMは平日に限り7日間、午後1時36分からのドラマの合間に1日4話ずつ流しており、担当者は「CMらしくなくて、おもしろいとか、最初は何のことかさっぱり分からなかったけれど、物語になっており、ラップ調のやりとりが笑えたなどの反響があった」と話す。

 かくいう私もCMに引っかかったクチ。行きつけの居酒屋で遅めのランチをとっているとテレビ画面には韓流ドラマが流れていたが、一風変わったアニメが突然現れたので、つい見入ってしまった。

 そもそも「大江山鬼伝説」とは平安中期に生まれた武将「源頼光」が「頼光四天王」と呼ばれる屈強な家臣らを従え、丹波国でのさぼる鬼の酒吞童子を退治するというものだ。アニメでは普通のサラリーマンがある日、階段から落ち、異世界へ転生するという設定。やがて鬼とラップバトルを繰り広げ、鬼を成敗していくストーリーとなっている。

 しかも、頼光の声は大人気アニメ「鬼滅の刃」宇髄天元役で知られる声優の小西克幸さんが担当し、TikTokなどで人気急上昇中の「奇跡さん」が1人何役もこなす。地方自治体が声優と絡むケースとしては昨年1月、岡山県が「岡山発見かるた」を企画した際に「鬼滅の刃」の鱗滝左近次を担当した大塚芳忠さんの例があるが、担当者は「各CMの最後には鬼退治のヒーロー源頼光が“鬼の聖地・大江山”ほか福知山の鬼スポットを紹介しているので、お見逃しなく」と話していた。

 市では鬼のまち福知山のキャンペーンとして、様々な特典を用意。事前予約することで行き帰りのJR利用分の20%相当をICOCAポイントで還元する。実は、これを知ったのも普段利用する駅のホームで何気なく見た告知ポスターだった。もしかしたら”福知山病”にかかっているのかもしれない。また、市では大江駅から観光地までを一律片道800円の“鬼タク”を走らせてもいる。

 CM終了後、8月には京阪神地域に絞り、YouTube広告を放送。鬼のような作戦で「福知山」に目を向けさせようとしている。

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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