アニメ?いえフィギュアです 二次元彩色を施した作品が国内外で反響「神業すぎる」「もはやトリックアート」

立体のフィギュアに色を塗り直し、アニメや漫画と見まがう質感に生まれ変わらせた作品が注目を集めています。アニメや漫画を立体化したフィギュアが、2次元のような迫真性を持つ不思議…。

「鬼滅の刃」の煉獄杏寿郎や「ジョジョの奇妙な冒険」の空条承太郎、「僕のヒーローアカデミア」のトガヒミコが、どの角度から見ても、漫画やアニメに見えるクオリティに仕上がっており、目の錯覚を起こさせる作品群に「もはやトリックアート」「神業過ぎます」「black magic(黒魔術やん)」と反響を呼んでいます。作者のMAマン(M_A_paintman)さんに話を聞きました。

■リペイント作品見てビビッ 私も塗ってみたい!

ーーどの作品も目を疑うような2次元ぶりです。MAマンが名付けられた「3D2次元彩色」を始めたきっかけと、作品作りを始めた時期について教えてください。

「中学時代に油絵に出会い、そこから油絵に没頭していました。ずーっと絵を描き続け、美術系の大学へと進学して、油絵をひたすら描いていました(笑)」

「そこから何故フィギュアなのか?と言うと、もともとプライズ系のフィギュアを集める事が趣味でゲームセンターによく取りに行ってたんですが、ある日ショーケースにたまたま並んでいた『リペイント品』を見た時に雷に打たれたかのようにビビッときたんですよね。私もフィギュアを塗ってみたい!って思ったのがきっかけでした。そう思い立った翌日に「筆・塗料・うすめ液」ぐらいの最低限塗れるものだけを買ってさっそく塗り始めたんですけど、びっくりするぐらいうまくいかなかったのを今でもよく覚えています(笑)。始めた時期的には大体2年半ぐらい前だったと思います」

ーー3D2次元彩色の制作工程について教えてください。

「最終的には筆で描き上げることが多いのですが、作品によって異なります。私の場合は、作品を作るときに型というモノが無く、自分の頭の中に沸いたイメージをどの出力方法が一番形になるかな?と考えて、道具や方法を選んでいます。なので作品によって工程が違います。ただ、筆を使う頻度はかなり多いですね」

ーーさまざまな漫画、アニメ作品を取り上げていますが、ワンパンマンのタツマキ、ヒロアカのトガちゃん、エンデヴァーなど、ファンが「このキャラか!」とうなるキャラクター選びです。取り上げる基準はありますか?

「基本的には私が塗りたい!と思ったフィギュアを塗っていますね。ワンパンマンのタツマキなんかも、動画内で可愛いなぁ、このフィギュアは塗りたいかも!と思ったから塗ったんですよね。もちろんそれ以外のフィギュアも塗ったりする事はありますが、基本的には塗りたいフィギュアを塗っていることが多いです」

■キャラを自分の中でかみ砕き、指先に落とし込む

ーーそもそも、漫画やアニメをフィギュアに立体化することが難しいと言われる中、3次元化したフィギュアを2次元のように表現するのは難業のようにお見受けします。フィギュアを2次元表現に落とし込むポイント、心がけていることはありますか?

「元となっている作品をしっかりと観察する事は重要なポイントとなってくると思います。作品で使われている色や、そのキャラクターを構成している細かな表現の要素をしっかりと自分の中でかみ砕き、自分の指先に落とし込むようにしています」

「万人に愛されているキャラクターのイメージを悪い方に崩さないように、キャラクターの良さを引き出すように心がけて塗ることは、シンプルながらとても大切なポイントだと考えています。表現がブレないように、毎作品ごとに塗りのテーマを考える事も大切にしています」

「密接にかかわるフィギュアそのものの造形に関しては、なるべく造形の良さを最大限に引き出すようにディティールなどを極端に拾うなどして過度なメリハリを出したり、逆の事をしたりなど、造形そのものの観察も細かくするように心がけています」

■制作期間は数日から数カ月

ーー制作にかかる日数や、これまで作った作品数を教えてください。

「作品によって違いがあります。フィギュアを手に取ってからイメージを決め、資料を集めてから制作に取り掛かるので、短いもので1~2日、1週間前後、長いものでは数ヵ月完成までにかかります。色付けするまでの作業もあるので、塗り始めたら意外と早かったりもします。今までに作った合計は・・・詳しく数えた事はないですが、おそらく50~70ぐらいなんじゃないかなぁと思います」

ーーリペイントにとどまらず、台座や炎などのエフェクトまで自作する理由を教えてください。

「塗る、と言うことはもちろん好きなんですけど、そもそも手作業と言うか造り出す事が好きなんですよね。 やっぱりフィギュアってカッコよく・可愛く飾りたいじゃないですか?なのでエフェクトや台座も作ったりします。もちろん毎回できるわけでは無いですが、私の頭の中のイメージでフィギュアを引き立てられるようなアイテムを作る事も、楽しんでやっています」

■新しい感動届けたい

ーー投稿した画像や制作動画には海外からの反響もあり、花の慶次作品のようにフィギュアメーカーからのリペイント依頼も入っています。今後、どのような作品を作っていきますか。海外展開や企業依頼について展望があったら教えてください。

「驚きやワクワクを与えられるような作品を作り続けたいですね。私が塗った作品をイベントなどに飾ったりして、作品を通してたくさんの人にワクワクを届けてみたいです。それこそたくさんの人からお声はいただいていますが、個展とかも開いてみたいですね」

「またYouTubeやSNSを通して、アニメ作品やキャラクターへの『好き』がみなさんと共有できる場を提供していきたいです。フィギュアって大体の物が1種類のカラーしかないんですよね。もちろん例外はありますが。だけど、私だったら既存の量産品以外のカラーにする事ができるので、見ている人達に、手に入れた時や発売された時の感動のほかに、もう一種類の新しい感動を与えられるような作品を造っていきたいなぁと思っています」

ーーMAマンさんは主宰されている教室「フィギュアアートラボ」で、リペイントのノウハウを教えています。自らのノウハウを伝える理由について教えてください。

「私の作品やYouTubeを見て、『私もやってみたい!』や、『やってみたいけどやり方がわからない!』と言う声を聞いていたので、それだったらと思って立ち上げたコミュニティです。多くの人に『フィギュア』と言うものの良さをやアニメの良さを知って欲しいなぁと思います」

  ◇   ◇

色を塗る技術だけでなく、漫画やアニメへの深い愛情を感じさせるMAマンさん。原作への敬愛の念が、妥協なき作品群を生み出しているように感じられました。これからも新作を楽しみにしています。

(まいどなニュース・伊藤 大介)

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