元重量級K-1戦士がコロナで壮絶KO倒産「自粛期間中の2カ月は収入ゼロ」→再起してスポーツバー開店

 プロボクシングの元ヘビー級ボクサーでK-1ファイターとしても活躍した西島洋介さん(47)がコロナ禍で悪戦苦闘している。昨年6月、千葉・柏市に出した店はあえなく倒産。しかし、周囲のサポートもあって、10月22日に松戸市に移転しスポーツバー「AN」をリニューアルオープンさせる。「いつかは東京でジム経営を」。夢は諦めていない。

 倒れても立ち上がる。まるで現役時代を思わせるようなタフネスぶりだ。西島さんは昨年6月6日午後6時に念願だったスポーツバー「AN」を千葉県柏市にオープンし、順調な滑り出しを見せていたが、予期せぬコロナ禍で勢いを失う。自粛期間を経て、ついに8月に倒産。完全にグロッキー状態となった。

 「自粛期間中の2カ月は収入ゼロ。その後もお客さんの入りは戻らず、8月には閉めざるを得ない状況になりました。持続化給付金といいますけど、固定費などの支払いに使えただけ。間に合いませんでした」

 実際、帝国データバンクによると、コロナ関連倒産件数は10月9日にはついに600軒を超え、そのうち飲食店が86軒と最多となっている。業歴が浅いほど、影響を受けており、西島さんもなすすべがなかったようだ。

 あえなく、倒産し、途方に暮れていると、しばらくして知人からありがたい話が舞い込んだ。千葉県松戸市で昼間にカレーを提供している店があり、その夜の時間帯に営業してみないかと声を掛けられたのだ。場所は新京成線「五香駅」ロータリーのすぐ近く。店名も同じスポーツバー「AN」にして再起した。

 この店名は2人の頭文字からきており、Nは西島さん、Aはタレント兼女優で西島さんのビジネスパートナーでもあるアンナさんから取ったものだ。

 「いまはコロナの影響もあるので木、金、土、日の週末限定。来年からは通常営業に戻すつもりでいます」

 アンナさんはカナダ生まれで日本に在住して30年。「外タレとしてやってきました」と話し、テレビ「アンビリーバボー」などの再現シーン役として、しばしば登場している。かつてサンテレビの「夜美女」などに出演し、セクシーさをアピールしていたこともあり、関西の人には知る人ぞ知る存在かもしれない。

 店の大きな特徴はワールドチャンピオンを略した「ワルチャン英会話ボクササイズ」と呼ばれるものでボクシングと英会話を同時に、しかも気軽に学べるところ。実際、フロアの片隅にはサンドバッグが置かれ、ミットとグローブも1セットつるされている。

 レッスン料は1時間3000円。お得な回数券もあり、本場アメリカのリングを転戦し、WBO世界クルーザー級6位まで上り詰めた西島さんだけではなく、アンナさんも英会話の指導に加わる。

 「レッスンで汗を流した後、スポーツを観戦しながらゆっくりとお酒を飲んでもらえれば」とアンナさん。2人の人脈の広さを示すようにプレオープンには格闘技界や芸能界、スポーツ界などから知人、友人が駆けつけ、再起を祝った。その前で西島さんはこう宣言している。

 「前の店はコロナでつぶれてしまい、閉めることになったけれど、チャンスをもう一度もらった。ここでがんばって、将来は東京で本格的なジムを開きます。コロナなんかに負けません」

 プロボクサーからK-1ファイター。そして…スポーツバーを再オープン。紆余曲折は続くが、西島さんは人生という名のリングでファイティングポーズを取り続ける。

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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