高校生がプロ野球オーナーに手紙→始球式が実現「難病の先生のこと知ってください」

 プロ野球広島カープの本拠地マツダスタジアム。10月17日の中日戦始球式に、難病の先生を支援したいという思いを背負い、ひとりの女子高生がマウンドに立ちます。「先生の病気を多くの人に知ってもらいたい」という生徒たちによる足掛け4年、生徒会4代に渡る活動のたまものでした。

■難病の先生の夢かなえたい…

 広島県立御調高校(尾道市)元教頭の長岡貴宣さんは在職中の2016年、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されます。一般社団法人日本ALS協会のホームページによると、ALSは「運動神経系が少しずつ老化し使いにくくなっていく病気」です。

 2017年、生徒たちの卒業式を目前に休職を余儀なくされた先生の夢は「卒業式に出席し卒業生の門出を祝いたい」。生徒たちは長岡先生の夢をかなえるために2018年1月、分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を開発したオリィ研究所(東京都港区)を訪問し、協力を求めます。同時に募金活動も開始。同年3月、長岡先生は分身ロボットを利用し、自宅から卒業式に参加することをかなえました。

■「イチかバチか、カープに手紙」

 同校はその後も難病支援活動を継続。ALSを広く知ってもらうための啓発活動の場として目標に掲げていたのはカープの本拠地マツダスタジアムでした。

 「イチかバチか、広島カープに手紙だね」

 担当教諭と生徒たちの意見が一致。2019年12月、思い切って球団の松田オーナーあてに「ALSへの理解を深める日を作ってもらえないか」と手紙を出しました。すると翌月、球団職員から同校に電話が入りました。「詳しく話を聞かせてください」。

■「一緒にやりましょう!」

 来校した球団職員に生徒たちはALS啓発への思いを伝えます。すると職員はその場で「一緒にやりましょう!」。さらに職員から生徒たちに映画のDVDが手渡されました。映画のタイトルは「打撃王」。1920年から30年代にメジャーリーガーとして活躍したルー・ゲーリッグ選手の伝記映画です。ベーブ・ルースらとともにニューヨーク・ヤンキースで活躍するもALSを発症し引退。名選手だった彼が罹患したことから、ALSは現在でも「ルー・ゲーリッグ病」と呼ばれています。

 普段から乳がんの啓発活動などに取り組むカープならではの粋なプレゼント。この映画によってルー・ゲーリッグ選手のことを知った生徒もいたそうです。担当教諭はとんとん拍子で進む展開に「本当にびっくりしました」と感慨深げに振り返ります。

 広島カープの担当者に電話で話を聞くと、高校生たちの願いを何とかかなえてあげたいという思いがあったといいます。「オーナーあてに手紙が届きました。高校生のみなさんのすばらしい取り組みに、カープとして何かできないかと考え、イベントの場を設けることにしました」(担当者)。

■女子生徒、ワンバンで届くように

 試合開始は17日午後2時。始球式には前生徒会長で同校3年の角森巴海さんが登場します。始球式を前に、角森さんは練習の日々なのでしょうか。

 担当教諭に尋ねると「放課後にキャッチボールなどで練習を重ねています。当初、ボールはキャッチャーまで届かず、半分の距離でした。現在はだいぶ伸びてきて、ツーバウンドやワンバウンドで届くようになりました」。角森さんは「ALSのことをみんなに知ってもらいたい」と意気込んでいるそうです。歴代の生徒会メンバーのほか、長岡先生もイベントに参加する予定です。

     ◇     ◇

 当日17日は、開門時刻の午前11時から7回裏終了時まで、球場内のコンコースショップ周辺スペースに「ALSを知ってもらうコーナー」も開設されます。分身ロボットの体験やALSについてのパネル展示、御調高校とカープのコラボグッズの販売などが行われます。御調高校×カープオリジナルTシャツ(2000円、120枚)、御調高校×カープオリジナル缶バッジ(200円、1000個)。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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