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おばあさんが亡くなって行き場を失くした猫 「殺処分も…」の言葉に引き取りを決意

 アメリカンショートヘアの猫を飼っていたおばあさんが入院後に亡くなった。親戚が引き取ったが、攻撃的で先住猫と合わないという理由から里親さんを探していた。確かに、よく引っ掻いてくる猫だったが、甘えん坊の一面もあった。

 2015年3月、東京都に住むコッコさんは、次男の同級生が、誰か猫を飼ってくれる人を探していると聞いた。

 「おばあさんが猫を飼っていたのですが、体調を崩して入院。1カ月後に亡くなってしまったので、おじさんが引き取ったそうです。ところが先住猫と相性が悪いので誰か飼えないかということだったんです」

 先住猫と合わないということは、すごく気の強い猫か、気の弱い猫のどちらかなのだろうと思った。コッコさんは、ボーダーコリーのルルちゃんを飼っていた。テンションが高い犬だったので、猫を飼うつもりはまったくなかった。しかし、次男の話を聞いて「うちの犬はフレンドリーなので、気の強い猫なら問題ない。でも、1匹だけで飼ってくれる人が現れたら、そのほうが猫にとって幸せかもしれないと息子に言ったんです」

 1週間後、同級生のお母さんから、「息子さんが興味を持たれているので、よろしければ猫を飼ってくれないか」という手紙を次男に渡された。コッコさんは、その母親に連絡して、次男に言ったのと同じことを言った。しかし、どうしても飼えないので、できたら引き取ってほしいと言う。コッコさんは、ボーダーコリーと会わせて、相性を見させてほしいと言った。

 初対面の日、先方は、何の連絡もしないで2時間遅れてコッコさん宅に来た。遅れた理由も言わなかったので、不信感が募った。トランクからダンボール箱を出すと、まだ外にいるのに渡してきた。箱の中からは、怯えたような鳴き声がした。コッコさんは、ひとまずダンボール箱を玄関に置き、トイレを受け取った。

 先方は「高齢者が動物を飼うべきじゃない。うちの猫と相性が悪くて、人間にも攻撃をしかけてくる。殺処分も考えている」と言った。「殺処分」と言われて、コッコさんは思わずカッとなり「もう受け取ります。何もなければお返ししません。お返しする時だけお電話差し上げます」と言った。実物も見ず、写真も見なかった。ルルちゃんと相性が悪ければ、マルちゃんに一部屋与えようと思ったという。

 玄関で立ち話をして、先方が去ってからドアを閉めて箱を開けてみた。アメリカンショートヘアというと、グレーと黒の被毛というイメージがあったが、茶色でふっくらしていた。ダンボール箱の中は糞尿で汚れていて、箱に入れられてから相当時間が経っているようだった。猫は「マル」という名前だった。

 4歳と聞いていたが、獣医さんに診せると6歳くらいだと思うということだった。ケージ越しにボーダーコリーのルルちゃんと対面させたが、マルちゃんは堂々としていた。おどおどしたり、隅っこに行ったりすることはなかった。抱っこしようと思って手を伸ばすと引っ掻いてきて、攻撃性はあったが、人の足にくっついて甘えたい素振りも見せた。

 「この子に何か問題があるの?と思いました。攻撃性もあるけど、うちでは複雑な性格ねあなたはと言っているんです」

 ご主人やお子さんも怖くて抱っこできないと言ったが、コッコさんは引っ掻き傷だらけになって3カ月間過ごした。

 「横を通り過ぎるだけで引っ掻いて追いかけてくる感じでした。そうかと思えばデレデレすることもあり、気を許して手を出すと引っ掻いてくる。でも、日を追うごとに目に見えて家にも人にもなれていったんです。引っ掻いたり、すれ違いざまに威嚇したりすることもなくなりました」

 ルルちゃんは、フレンドリーな犬なので、しょっちゅうちょっかいを出しては目の下を引っ掻かれたり、耳を噛まれたりした。

 「ルルに、あなたが悪いというと、すごすごと自分のケージに入っていきました。いまではつかず離れず、時々くっついて寝ることもあります」

 マルちゃんは、いまだに抱っこが嫌いだが、家族が帰ってくると誰よりも早く出迎えてくれる。足にスリスリして甘えてくる。

 「ツンデレのデレが一番出る瞬間です。おばあさんが帰ってこなかったからかもしれません。本当に猫なのかと思うくらいです。普段はツンツン猫ですが」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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