「どうか安らかに…」廃止された大学の“喫煙所跡地”に供養塔?…「クール!」「涙を禁じ得ない」と話題

 受動喫煙防止を強化する改正健康増進法が4月に全面施行されるのを前に、各地で喫煙所の撤去が進んでいます。そんな中、大阪府内のある大学で、撤去されたばかりの喫煙所跡地が供養されていた-というツイートが話題を呼びました。手書きの塔婆に、仏壇に供える樒(しきみ)のような枝、並べられた何ともシュールなお供え物の数々…。ツイートの主に話を聞いてみました。

 この大学に通う、天邪鬼研究所(@amanozyakulab)さん。今月22日、大学構内にあった喫煙所が撤去され、それを告知する壁の貼り紙から3mほど離れた場所にあった金属製の台が祭壇と化しているのを発見。紙に「喫煙所跡地」とマジックで書かれた“塔婆”が置かれ、「喫煙者の魂よ、どうか安らかに」という追悼メッセージ(?)の上には数本のタバコが。さらに、灰皿にしていたのか空き缶と、きっと鶴だったのだろう折り紙に、なぜかコンビニのチャーハンおにぎりが…。

 早速ツイートしたところ、これまでに9600件以上のリツイートと、2.6万いいねを集め、「まーた日本人が…(好き)」「こんなクールなことができる人がいるとは!」といった賞賛の声のほか、「切なくも小粋な姿に元喫煙者として涙を禁じ得ません」とのリプライも寄せられました。

 ちなみに大学側によると、改正健康増進法の全面施行と大阪府の受動喫煙防止条例を受け、構内に10カ所あった喫煙所を昨年12月から順次廃止。同月に3カ所、1月に3カ所を撤去し、残り4カ所も3月の春休み期間中に撤去する予定といいます。

 天邪鬼研究所さん自身はタバコは吸わないそうですが、この喫煙所は休み時間にはいつも数人の学生や教員が利用し、時にあふれることもあったといい、「小さなコミュニティが形成されていたと思います」と振り返ります。

 ツイートが話題になったせいかどうかは不明ですが、その後、貼り紙やお供え物などは撤去され、現在は金属製の台だけになっているとか。「私は建築を学んでいますが、このように誰かに愛され、無くなったときには供養されるような空間をうらやましく思います。そしてそれに共感する方がたくさんいることに驚きました」と天邪鬼研究所さん。

 オマージュを込めて、実際に使われていた文字をスキャンしてレプリカの一輪挿し(高さ約15cm)を制作し、「実際よりはかなり小さいんですが、こんなうらやましい事件を覚えておきたくて。3Dモデルですので、配布することも可能です。コメントに自分のところで供養しようというものがあり、そこで使ってもらってもいいなと思いましたが、忙しく断念しました」とも。そして「これから社会に出て建築を設計していくにあたって、供養されるほど愛される空間を、その時々で思い出すことになるだろうなと思います」と話してくれました。

 喫煙所撤去を機に「卒煙」を支援する大学や企業も増えているそうですが、こんなサヨナラの仕方なら、少し気持ちがラクになるかも?しれませんね。応援しています!

(まいどなニュース・広畑 千春)

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