神戸の教員いじめ、被害届が出ても加害者は書類送検…起訴される可能性は低く 小川泰平氏が解説

 神戸の市立小学校で20代男性教員が、30~40代の同僚教員4人によって激辛カレーを目にこすりつけられるなどの悪質ないじめを昨年から受けていたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は9日、当サイトの取材に対し、数々の“いじめの手口”が刑事事件としてどのような罪状になるかを解説。さらに今後、被害届が警察に出された場合、書類送検されもて起訴には至らない流れを予測した。

 テレビやネットでは、20代男性教員が背後から30代男性教員に羽交い絞めにされ、「あかん、あかん、嫌やー。ごめんなさい、ごめんなさい」と半泣きで嫌がるこの男性に対し、40代女性教員が笑いながらスプーンでカレーを無理やり被害者の口に流し込む動画が流された。さらに、口元だけでなく、目元にもカレーが塗られた画像が公開されている。

 全国に衝撃が走った「カレーを強制的に食べさせる暴力行為」について、小川氏は「羽交い締めにして無理やりカレーを食べさせた行為自体は強要罪ですが、カレーを口元や目などになすりつける行為は暴行罪です。さらに、その行為によって治療を要する傷などを負った場合は傷害罪となります。」と説明した。

 さらに、小川氏は、その他の“いじめ行為”についても次のように解説した。

 ・コピー用紙の芯で臀部をミミズ腫れになるほど殴る。足を踏みつける→暴行罪。加療を要する場合は傷害罪。

 ・車の上に乗る、車を蹴る、車内で故意に飲み物をこぼして汚す→器物損壊罪。

 ・スマホを勝手にロックする→偽計業務妨害罪になる可能性。

 ・暴言、人格否定するような呼び名をつける→校内で子どもたちや他の教師の前などで言っていれば、名誉毀損罪になる可能性。

 ・他の同僚女性教員に対して性的なメッセージをLINEで強制的に送らせる→強要罪として立件される可能性。

 では、被害届が出された場合、4人の加害者教員は上記の罪状によって逮捕される可能性はあるのだろうか。

 小川氏は「逃走および、証拠隠滅のおそれがないと判断されれば、身柄を法的に拘束されること、つまり逮捕されることはない。警察署に任意で呼ばれて取り調べを受け、書類送検ということになるでしょう」と今後を予想。さらに「被害の程度によりますが、その内容から、起訴(公判請求)される可能性は低いと思われます。また、弁護人が入り示談になるケースもある」と指摘した。

 ただ、加害者教員は社会的制裁を受けることにはなりそうだ。小川氏は「今回は社会的に大きく注目された事件。もし、起訴されることになれば、公務員は失職になり退職を余儀なくされる。さらに教員免許状も失効する」と解説した。

 小川氏は「被害者の先生は、相談する窓口があったはずだと思うが、それができなかったのだろうか。相談をしていれば教育委員会等の問題も考えられる。教師が教師をいじめるということの背景に何があったのか。学校の先生がこんなことをするなんて…と、普通には中々考えられないことだが、その原因は徹底的に究明をする必要がある」と呼びかけた。

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