これがタピオカブームの最終形態なのか タピオカ漬け丼実食レポート「見た目は?味は?」

 タピオカドリンクブームに沸く2019年の日本列島。令和最初の夏、ついに「タピオカ丼」が登場した。そば・うどんチェーン店「名代 富士そば」の新宿・三光町店で8月16日から限定発売され、SNSから火がついてテレビで紹介された20日頃から売り上げが急増しているという。さっそく同店を訪ね、開発の経緯や来店客の反応をうかがい、実際に完食した。

 ツイッターで「元祖 富士そばライター・名嘉山直哉@l_f_nakayama」さんが同商品の発売日である8月16日に券売機の「ミニいくら風タピオカ漬け丼セット かけ/もり 560円」の画像と共に「女子のみなさん、富士そばでタピ活できますよ。」と投稿したことをきっかけに、SNSで情報が拡散した。

 同店の羽生典史店長は「初日、2日目ははっきり言って全く売れませんでした。正直申し上げますと一桁です。『やっちゃったなあ…』と思いました」と振り返るが、ツイッターで話題になり始めた3日目から数字が上がり、テレビ放映された20日には『多くて80~100食』という予想を大きく上回る約200食に。同店は24時間営業の3交代制。21日は「早番」時間帯となる午前7時から午後3時までの間に100食近く出るなど売り上げを更新する勢いだ。同店長は「タピオカを漬け込む時間が4時間くらいかかる。用意してあるものを出し切ると、次がすぐ出せないので、20日は夕方に2時間くらいあきました」と“うれしい誤算”を明かす。

 開発した羽生店長に経緯を聞いた。

 「どっちかというと僕は流行を追いかけない人間なんですけど、あまりにも『タピオカ、タピオカ』って世間で言われていることに『こんちくしょう』と思って、タピオカを食材にしてメニューにすることはできないかと。最初はミルクティーとかに入っている大きくて黒い『ブラック』と呼ばれるものしか頭になかったんですけど、調べてみると、小粒で白い『パール』と呼ばれるものがあり、こちらの方に目を付けた。最初はご飯ものは全く頭になかったんですが、茹で上がると透明になる粒に味付けできるんじゃないかと。粒の大きさからいくらみたいなものが作れないかと。初めて試作した時は『これ、ご飯にかけて食べるの?』って自分で思いましたが、試食したら『あれ!食べられる』って(笑)」

 実際に食べてみた。タピオカはイモノキ属の熱帯低木「キャッサバ」の根茎から製造したデンプンで無味なので、漬けダレが命となる。冷やしのそばなどに使うもり汁に富士そば特性の「かえし」(しょうゆに砂糖、みりんを加えて寝かせた、そばつゆの元になる調味料)を加えた味付けがよくしみ込み、白米とよく合う。パールのタピオカは素材が2~3ミリで、茹で上がりが5ミリ。実際のいくらより小さい。いくらのプチプチ感はなく、モチモチ感なのだが、ドリンクに入った黒タピオカほどの弾力はなく、米粒と共にスルッと滑り込んでいく。

 羽生店長は「9割9分のお客様が写真を撮られています。ちょっと食べて『こういう感じなんだ』ということで返される方もいらっしゃいますが、完食していただけるとうれしいですね」。同店は、靖国通りと明治通りが交差する「新宿5丁目」という人通りの多い交差点の一角にあるため、通りすがりに券売機の当該ボタンの写真だけを撮っていく人もいるという。

 気になる今後の展開も聞いた。発売当初は8月中での販売終了を考えていたというが、話題を呼んだため「いつまでというのは未定です」(同店長)。同チェーンでは各店舗の店長が独自のメニューを考案。羽生店長はこれまで「カレーなる冷しゴーヤとろろそば」といった「カレーなるシリーズ」を生み出したが、タピオカ丼に端を発して「『〇〇風』という『なんちゃってシリーズ』を今後もやっていけたら面白いかなと思っています」と明かす。

 券売機に表示はないが、オーダーすればタピオカ丼の単品(320円)も注文できる。「仕込みも大変なんですよ。仕入れが追い付かない可能性も出てきた。今後、他にもやりたい店舗が出て来る可能性はあるかもしれません」と同店長。タピオカブームの「最終形態」となるのか!? しょう油ご飯と化したタピオカの粒々をかき込みながら考えた。

(デイリースポーツ・北村 泰介)

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