続く頭皮のかゆみやフケ 意外に多い原因や疾患、放置は厳禁

頭に湿疹ができフケも悪化…シャンプー変えても治まらないかゆみの原因は?体に異常は?(聞き手/広井千夏子アナウンサー、解説/神戸市東灘区「たむら皮膚科クリニック」田村真吾医師=兵庫県医師会)

  ◇  ◇

広井アナウンサー:69歳女性からのご相談です。「2年ぐらい前から頭に湿疹ができ、フケもひどく、かゆいときもあります。シャンプーも変えたのですが症状は治まらず、何か体に異常があるのでしょうか」とのことです。

田村医師:「体に異常がないか心配されておられますが、内臓疾患から体にかゆみを生じるケースとしては糖尿病や肝臓・腎臓疾患などがあります。ただ、これらが原因でかゆみを生じる場合は全身にかゆみを感じることが多く、頭皮だけという場合は少ないです。本件の場合は頭皮に限られているということなので、心配されている体の異常の可能性は極めて低いと考えます」

広井アナウンサー:シャンプーを変えた後もフケやかゆみが継続して続くということですが、シャンプーが原因ではないと判断していいのでしょうか。

田村医師:「一概に、シャンプーを変えた後も症状に変化がないから原因ではない-とは言い切れません。なぜならシャンプーは一つの材料で成り立っているわけではなく、洗浄作用のある界面活性剤や香料、防腐剤などいろいろな材料で構成されています。もし今まで使っていたシャンプーと変更後のシャンプーに共通した材料が使われており、それが原因であれば、シャンプーを変えても問題の解決にはなりません」

「シャンプーが原因であるかを判断するには、お使いのシャンプーでパッチテストをする必要があります。パッチテストは、体に数日間、調べたいもの、今回ならシャンプーを貼り、その部分の皮膚変化を観察して原因かどうかを判別します。シャンプーなどは薄める必要があり、その希釈倍率にはルールがあるので、必ず皮膚科に相談をしてください。コンディショナーや整髪料を使っているなら、そのテストも必要になります」

広井アナウンサー:もしシャンプーが原因でなかった場合は何が考えられますか?

田村医師:「大きく分けで五つの原因が考えられます。まずは『脂漏性皮膚炎』です。これは、頭皮や顔面が好発部位でかゆみを生じ、頭皮の場合はフケを伴う頭皮では代表的な皮膚疾患です。かゆみは頭皮全体に生じる可能性があり、特に生え際が多いです。顔面では、脂漏性部位つまり眉毛や眉間、小鼻の周囲、ほほ、あごなど、あぶら取り紙で皮脂を抑える部位に生じやすいです。今回のご相談でも、そうした部分に赤みやかゆみがあれば、脂漏性皮膚炎である可能性が高いでしょう」

「原因は寝不足やストレスのほか、皮膚の常在菌であるマラセチア菌の関与が考えられます。さらに今の時期では、花粉が悪化原因になることもあります。治療はステロイドやマラセチア菌に対する塗り薬のほか、他の塗り薬の効果が期待できることもあります。飲み薬ではビタミン剤や抗アレルギー剤が有効であることもあります」

「第2は、乾燥性のものである可能性です。従来頭皮は乾燥しにくいものですが、過度の洗髪や強く頭皮を洗うなどして乾燥が生じ、バリア機能が低下したとき、刺激を受けやすくなることがあります。受けた刺激によりかゆみが生じ、そこを掻いてしまい湿疹へ変化した結果、フケが生じることがあります。過度の洗髪を避けることややさしく洗うことを心掛け、生じた湿疹にはステロイドの塗り薬や、低下したバリア機能にはうつ剤などを用いて治療を行います」

「3番目は感染症です。頭皮に細菌感染を生じた場合、顔のニキビに似たような状況が生じたと考えてよいのですが、まれにかゆみ、フケを伴うことがあります。治療は抗生剤の服用や抗生物質を含有する塗り薬などで治療します。また年代的には考えづらいのですが、アタマジラミの場合も、かゆみやフケを認めることがあります。顕微鏡で虫卵や成虫を発見して診断します。シラミに対し殺虫効果のあるシャンプーや薬を使用するほか、くしを使って虫卵除去をして治療する場合もあります。それ以外の感染症では、頭皮の湿疹病変にステロイドの塗り薬を塗布してる間に真菌感染、いわゆるカビの仲間に感染するケースがあります。これも顕微鏡で頭皮の一部を調べて診断しますが、治療はステロイド剤を中止し、カビに対する塗り薬をぬります」

「第4はアトピー性皮膚炎の頭皮症状の場合です。この場合、首や肘・膝の関節の内側、手首などに特徴的な病変を伴うので診断は容易です。ただ、頭皮の病変が先行し、その後特徴的な部位に症状が出てくる場合もあるので、注意深く観察することが必要です。治療はアトピー性皮膚炎に準じて行います」

「最後が、尋常性乾癬です。皮膚の生まれ変わりが著しく早くなっている状態で、外部からの刺激が多いひじやひざなどで皮膚が分厚いフケのようになり、赤くなります。同様の変化が頭皮に起きると、本件に似たような症状が出ることがあります。治療は尋常性感染に準じて行われますが、症状によっては多岐にわたる薬を使う場合があります」

広井アナウンサー:頭皮のかゆみやフケにもいろんな原因や皮膚疾患があるんですね。

田村医師:「頭皮のかゆみやフケは日常の診療でも良く相談を受けます。いったん良くなっても引き続き、同じ症状が生じるようなら、必ず皮膚科医にご相談ください」

(ラジオ関西「みんなの健康相談」放送分より)

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