受刑者が“自宅待機”する盲点…逃走容疑者に薬物使用の可能性も 小川泰平氏が解説

 懲役3年8月の実刑判決の確定から4か月後、収容状を持って神奈川県愛川町の自宅を訪れた横浜地検の職員らを振り切って無職小林誠容疑者(43)が逃走した事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は21日、デイリースポーツの取材に対し、受刑者が保釈されて“自宅待機”するシステムやその盲点を解説。さらに同容疑者が薬物に手を染めていた可能性も指摘した。

 小林容疑者は昨年9月、窃盗や傷害、覚醒剤取締法違反(使用)などで横浜地裁小田原支部で実刑判決を受け、今年2月に刑が確定。保釈されたが、検察の出頭命令に応じず、何度か横浜地検の職員らが自宅を訪ねたが不在だったという。

 19日午後1時半ごろ、横浜地検の職員4人と神奈川県警厚木署員2人が訪問した際、小林容疑者は刃物を手に暴れて逃走。横浜地検は20日に公務執行妨害容疑での逮捕状を取り、受刑者から再び容疑者となって、県警が全国に指名手配した。

 実刑判決を受けた受刑者が保釈され、収容されるまで自宅で待機するケースもあるという、一般市民にはあまり知られていない実情が今回の事件でクローズアップされた。

 小川氏は「逮捕状を持っている場合、24時間張り込んで、朝いるか、夜中いるかとかを見ますが、収容状を持っている場合、実際にこの家で生活していることは間違いないから、昼間の執務時間内に行って家にいたら連れてこようというようなところがあり、そこが結果的には甘かったのかなと思います。本来、朝駆けといって、早朝に行って相手が起きるのを待つとか、夜に帰宅するのを待つか等、逮捕状の場合はしても、今回の場合はそれがなかった」と“盲点”を指摘した。

 さらに、同氏は「私は30年間、警察官をやっていて、収容状を行使しに行ったことは3回しかありません。いずれも拳銃は持たず、防刃チョッキも着けていなかった。保釈されているので逃走しないという前提ですから」と、警察官が置かれていた状況の背景を説明した。

 一方で、小川氏は「覚醒剤取締法でも実刑判決を受けていることから、私の推測ですが、保釈中に薬物にもう一度手を出していた可能性はある。そうなると、すぐ連れて行かれるわけにはいかない。最低でも1週間は体をきれいにするのに時間がかかる。今回、30分くらい室内で話をしていたということですが、その中で『今日は待ってくれ』といった話をしていたのだと思います」と想定。併せて薬物に手を染めていた可能性を指摘した。

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