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直観的デザインで用途が一目瞭然 筑波大の学生が作ったごみ箱に反響続々

 缶びんペットボトル缶びんペットボトル、ううう、缶びんペットボトル…。おや、あんなところに巨大な缶とペットボトルが。ごみの分別のことばかり考えていたら、ついに幻影が見えるようになってしまった。「いいえ、違います。あれはれっきとしたごみ箱ですよ」。おお、あなたはまさか、筑波大学の学生プロジェクト「つくば ごみばこ ぷろじぇくと vol.2」(@ITFgomipuro)の中心人物こと松井さん!!?

 ~(茶番終了)~

というわけで、今ネット上で大変な注目を集めているこのごみ箱。5月20日に同大の中央図書館前にお目見えするや、その直感的かつ愛らしいデザインがSNSなどで瞬く間に大きな反響を呼んだ。同大の学生たちが自主的な活動を展開する「T-ACT(つくばアクションプロジェクト)」の一環で制作されたという。企画した松井さんに話を聞いた。

 -どうしてこのようなごみ箱を作ったのですか?

 「私は視覚障害のある学生さんをお手伝いする『ピア・チューター』に登録しているのですが、登録条件として受講が義務づけられている講座で、弱視歩行体験というものがあり、それがきっかけで企画に至りました」

 -弱視歩行体験では、おそらくいろいろな問題点が見えたと思います。その中で特にごみ箱に着目した理由、さらには、ペットボトルと空き缶用に焦点を当てた理由を教えてください。

「普段何気なく使っているごみ箱なのに、体験ではどれがどれか全くわからず非常に困惑しました。その中でもトイレの標識や燃えるごみ、燃えないごみのごみ箱に使われているような赤や青は比較的わかりやすかったことから、初めは原色に近い表示がいいのではないかと思ったのですが、色覚異常があれば色の違いはわかりにくく、全盲であればそもそも視覚情報が得られません。そこから、形にも差をつけることで視覚だけでなく触覚でもわかりやすいものができればよいのではないかと考え、"ごみの形をそのまま模したごみ箱"を思い付きました」

「ペットボトルと空き缶は比較的、形が固定なので、まずはそこから始めてみようと思い実際に制作しました」

-プロジェクト名にある「vol.2」の意味は。

「『vol.1』は2018年10~12月の活動、具体的にはデザインの決定や設置場所の交渉、助成金申請などを指します。『vol.2』では実際の制作と設置、広報活動、アンケートなどを実施します。アンケート結果を基にした改良、助成団体への報告も行う予定です」

-参加メンバーは何人くらいですか?それぞれの役割分担なども教えてください。

「ある程度入れ替わりはありましたが、基本10人前後で活動してきました。vol.2では、アンケート作成、ポスター作成、報告書作成、広報及び外部との連絡といった役割を設けています」

-制作期間、ごみ箱の材料、苦労したところや工夫したところは。

「実際の制作というよりも、設計にかなりの時間を割きました。制作作業そのものは2日でしたが、着想からはおそらく1年ほど経っているかと思います。見た目や形からごみの形だと認識していただいて初めて意味を持つ活動ですので、クオリティにはかなりこだわり、ペットボトルの上部、透明な部分は外注してアクリルを加工したものを用いました。本体には産業用のファイバードラム缶(紙製のドラム缶)を使用し、そこにアクリル塗料、改良時にはウレタン樹脂も利用して耐水性を持たせようと考えております」

「デザインに関しては、色、大きさ、形状を工夫して目に入りやすく、わかりやすく、使いやすいものにしようと努力しました。赤と青の組み合わせ、それぞれと白の組み合わせは、どちらも色覚異常を考慮してもかなり見やすく、区別もつきやすいのではないかと考えて採用しました。サイズはかなり大きめで、ペットボトルに関しては高さが1mほどあります。穴の位置はどちらも70~80cmの高さで、大人はもちろん、お子さまや車椅子利用者であったりしても、比較的使いやすいと思います。およそごみ箱には見えない形状ですので、まずは目に入りやすく、使いにくくならない範囲で注目されやすい大きさにすることを意識しました」

「形に関しては、なるべくそのものに近く、わかりやすいデザインを心掛けました。(ネット上の反応などでは)デザインに関する肯定的な意見を多数いただき大変嬉しい限りですが、誰にでも使いやすいごみ箱というからには、やはり管理や清掃をされる方にも優しいものにする工夫もしております。本体は紙製ですのでかなり軽く、移動等の際にも負担にならず、蓋はどちらも上に乗っているだけなので、持ち上げるだけで簡単に袋の交換ができます。また、ペットボトルに利用したアクリルにはガラスコーティング剤を塗布しており、汚れがつきにくく撥水性もあります。少しの汚れなら軽い拭き取りで元通りになるかと思います」

-SNSなどで注目されていることについてはどう受け止めていますか。

「大変嬉しく思います。そもそもこの活動はごみ箱を通してダイバーシティについて考えることを目的としているので、そういった意味でも多くの方に見ていただけることは非常にありがたいです。 アンケートも既に100件を超える回答をいただいており、反応の全てを把握できているわけではないのではっきりとしたことは言えませんが、学内でも周知は進んでいるかと思います」

-アンケートは6月20日をめどに集計すると聞いています。それを踏まえて、今後の具体的な展開を教えてください。

「今後はアンケート結果をもとにした改良、仕上げをして中央図書館に設置します。それ以外の箇所への設置は現在検討しておりません。ごみ箱自体はこの一組しかありませんが、これをきっかけに多くの方に使いやすいごみ箱、そしてダイバーシティやユニバーサルデザインについて考えていただけたら何よりです」(まいどなニュース・黒川裕生)

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