醤油なのに透明…インスタ映え確実「透明醤油」が話題 料理の色変えず感動の美しさ

 紅茶、カフェラテ、ノンアルコールビールなど、続々と透明な食品が誕生している昨今。とうとう日本の食卓に欠かせない、あの調味料まで透明になりました。ずばり「透明醤油(しょうゆ)」!です。SNSでも「透き通っていて水みたい」「インスタ映え間違いなし」と、その見た目の美しさが大変話題になっています。なお、透明ブームに乗ったミーハーな商品かと思って味見をしてみると、偽りのない「醤油の味わい」の確かさに驚嘆します。開発の裏側を聞くと、そこには新しい市場を開拓しようと意気込む地方老舗メーカーの熱い思いがありました。

 開発したのは、熊本市の醤油・調味料メーカー「フンドーダイ五葉」。創業150年を迎えるのにあわせ、開発・販売したそうです。化粧品のような美しい容器に入って販売されていることもあり、見た目はにわかに醤油とは想像できません。

 いざ容器にそそいでみると…さらさらと流れ出る様子は、水やお酒のようです。刺し身をつけて食べてみようとすると、何か別のドレッシングを使っているような錯覚があり、とても不思議な感じです。ツイッターで投稿されていた「脳みそが混乱する」「やはり視覚情報は大事なのである」というフレーズが頭をよぎります。

 しかし口に含むと…軽やかだけれどもしっかりとした香りと風味、そしてだし醤油のような甘みを感じます。そしてその味わいは、醤油だけで味見するより、ほかの食材と一緒にあわせたほうが、より引き立つ印象を受けました。それぞれの人の好みがあるとは思いますが、筆者は…冗談抜きで「おいしい!」と思いました。

  ◇  ◇

 そんな商品について、同社の担当者にお話をお聞きしました。

 -醤油なのに透明だなんて。どうやって作っているのか、とても気になります。

 「本醸造の濃口醤油を分離・精製し、味の調整をしています。一度醤油を作った後、加工をしているので、手間とコストがかかっています」

 -分離・精製とは具体的にどんな作業なのですか。

 「以前取得していた製法に関する特許を応用するかたちで作成していますが…ちょっとブラックボックスです。開発には1年半ほどかかりました。試作は早めにできたのですが、透明さを保ちながら、醤油の風味を調整するのに苦労しています」

 -しかし…なぜ『透明』だったのでしょう。

 「30代女性の開発担当者が、近ごろ透明な飲料が流行っていることから、弊社の設備と技術を駆使すれば透明な醤油を作れるのではないかと考えたためです」

 -あ!やっぱり!ブームに乗っかっただけなのでは…。

 「いえいえ、それだけではありません。当社は地元・熊本で醤油のシェア・ナンバー1ですが、地域の人口がこれから減っていく中で、消費量が減っていくことが目に見えています。企業の存続のためには、全国・海外にマーケットを広げる必要があります。『透明醤油』はそのための、新しい『提案型の醤油』でもあるのです」

 -新しい提案型の醤油、ですか?

 「醤油を和食の中で活用してもらおうとすると、既存の商品とバッティングしてしまいます。そこで『和』を脱却し、『洋』でも使ってもらえるように考えました。洋食の代表といえばフランス料理ですが、一皿一皿の色合いの美しさが印象的ですよね。透明だと食材の色合いを損なうことがありません。隠し味に使っても色が暗くなることがありませんし、さまざま利用方法が広がると思います」

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 同社のホームページなどを見ると、透明醤油を活用したレシピの事例が紹介されています。「醤油ジュレのカルパッチョ」「醤油パスタ」「マグロの漬け」…そして、衝撃的なのは「みたらし団子」。黒褐色の色味がなくなるだけで、こんなに印象が変わってしまうのかと再認識できます。

 筆者も卵かけご飯(あああ、なんかチープでごめんなさい)に使ってみましたが、卵の黄色の美しさがそのままで、とても感激しました。ただ透明なので、どれくらい入れたのか分からなくなりそうでしたが…。

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 …さて、同社担当者の話は続きます。 

 -食べてみて、ネットなどでは「やさしい味わい」だという人がいます。

 「九州の醤油は甘みが強いのが特徴ですが、いろいろな料理に使ってもらえるよう、辛口にしています。しかし、うま味成分が強いので、だし醤油のようだという方は多いですね。当社の醤油は、関東の大手メーカーのものよりも塩分が低いこともあり、そのあたりの口当たりのよさを感じてくださっているかもしれません」

 -実際どれくらい売れていますか。

「2月に販売を開始しましたが、これまでに8万本を売り上げており大ヒットとなっています。出荷が追いつかないときもありましたが、5月、6月は生産予定数を大きくしています。4月からは1リットルの業務用商品も販売を開始しました。さまざまな利用方法をこれからご案内していきたいと思っています」

(まいどなニュース・川上隆広)

  ◇  ◇

購入は全国の百貨店・スーパー、もしくはオンラインショップで。

http://shop.fundodai.co.jp/

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