猫を飼ったら猫アレルギーになってしまった!…どうすればいい?

 可愛いなと思って猫を飼い始めたら、眼がかゆくなったり咳が出たりして、病院に行ったら「猫アレルギー」と診断された。そんなことになったら愛する猫を手放さないといけないのでしょうか。太融寺町谷口医院(大阪府)の谷口恭院長に話を聞きました。

■どうしても猫を手放したくないという患者さん

 -猫アレルギーになっても、猫を手放せない人は多いでしょうね。

 谷口恭院長(以下、谷口):離婚をきっかけに猫を飼い始めたという50代の女性Aさんは、5年前から猫と暮らしていたのですが、3カ月前に猫アレルギーを発症しました。原因不明の咳が続いたため近隣の病院を受診したところ、血液検査の結果、猫アレルギーと診断されたんです。医師に「猫を手放しなさい」と言われたAさんは、「そんなことはできない」と抵抗しました。解決策を見出せないまま、次第に医師との関係も悪化していったそうです。

 そこで当院を受診したのですが、Aさんは「5年前から猫を飼っていて、いままで何も起こらなかったのだから、私は猫アレルギーではない」と言うのです。しかし、猫アレルギーに限らず、毎日触れているものだからこそ、突然アレルギー症状が出ることはよくあるのです。

■猫と一緒に暮らすための工夫

 -猫アレルギーの人が猫と暮らし続ける方法はあるのでしょうか。

 谷口:Aさんの場合、症状は咳だけでしたが、重症になると息苦しくなる、喘息発作が起こるなど、重症化することもあります。それでも、Aさんは猫のことを「生きがい」だと言っていたのです。普段は甘えてこないのに、Aさんの具合が悪いとそばに来て、ゴロゴロ喉を鳴らしてすり寄ってくるし、数日に一度はAさんの布団に入って朝まで一緒に寝るのですから、そう簡単に手放すことはできなかったのです。

 猫が「生きがい」という気持ちは分かるのですが、猫アレルギーの症状を和らげるためには住環境を改善してもらう必要もありました。「猫を寝室に入れないように」と言ったのですが、「それはできない」と言うので、「できる限り入れない」ようにしてもらいました。

 また、猫アレルギーは、猫のフケが原因になることが多いため、家中のカーペットやラグを撤去して、フローリングで生活するようアドバイスしました。フケ以外には、猫の唾液や尿も猫アレルギーの原因になることがあるので、直接触れないようにするといいでしょう。

■根治することはない猫アレルギー

 -環境を改善するだけでなく、薬による治療もしたのでしょうか。

 谷口:アレルギー用の薬と毎日使用する吸入薬を処方し、ぜんそく発作が起こった時に使う緊急用の吸入薬も枕元に置いておくよう指導しました。鼻炎や結膜炎もあったので、症状を緩和する薬も使いました。通院後3ヶ月ほどすると症状が和らぎましたが、薬をやめたら元に戻ってしまうでしょう。猫アレルギーが根治することはなく、さらに症状が悪化することも考えられるので、症状に合わせて薬を変えていく必要があります。猫アレルギーの人が猫と一緒に暮らし続けるには、住環境の改善とともに薬の服用が欠かせないのです。空気清浄機を置いたり、加湿器を使って湿度を50%以上に保つのもおすすめです。(まいどなニュース特約・渡辺陽)

▼谷口恭先生プロフィール

1991年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。

▼太融寺町谷口医院

http://www.stellamate-clinic.org/

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