「世界の盗塁王」を好きすぎるトイプードルがいた 宝塚生花店の看板犬

 「ダーリン」を見つけたときのトム君の喜びようといったら!ほかの人への反応とは明らかに違いました。さっきまで眠そうな目をしていたのに、立ち上がってしっぽをブンブン!ちぎれんばかりに、というのは比喩表現ですが、本当にちぎれそうなほど振っていました。

 トム君は10歳になるトイプードル。兵庫・宝塚市にあるお花屋さん「水内生花店」の看板犬です。お店は母、娘、孫娘と3代にわたる“看板娘”が切り盛りしているのですが、お客様の多くは“看板息子”をお目当てに来店されるようで、中にはお店の人に声も掛けず、トム君をなでて去っていく人もいるのだとか。

 そんなトム君に誰よりも愛されているのは「世界の盗塁王」こと福本豊さんです。プロ野球の阪急ブレーブスで活躍され、当時の世界記録となる1065盗塁をマークした韋駄天。若い方には歯に衣着せぬ、ウィットに富んだ野球解説でおなじみかもしれません。水内生花店は宝塚歌劇団の本拠地、宝塚大劇場のすぐ近くにあり、観劇に訪れた人も多く立ち寄る店。その中の一人が宝塚通としても知られる福本さんなのです。

 トム君は毎朝10時に“出勤”し、閉店時間まで店先にいます。すでに老犬の域に入っているため、一日の大半はカウンターに置かれたベッドの上でまったりしているそうですが、福本さんの姿を見つけると様子が一変。喜びを全身で表します。

 「なぜでしょうね。理由は分からないんですけど、とにかく福本さんのことが大好きで。だから私たちは、福本さんが来られると『ほら、ダーリンが来たよ』って言うんです。トムは男の子なんですけどね(笑)」と飼い主さん。

 子犬のとき、お散歩の途中で初めてオヤツをもらったのが“おじさん”だったから、おじさん好きになった説もありますが、それにしても福本さんへの愛情表現は尋常ではありません。取材当日も立ち上がって“キスの嵐”でした。

 あまりに積極的なトム君に、福本さんは少し引き気味のようにも見えましたが、決してトム君の片思いではありません。2人(1人と1匹)は相思相愛です。定期的に宝塚歌劇の観劇に訪れるという福本さんが、開演時間に余裕を見て必ず生花店に立ち寄るのは、他ならぬトム君に会うためです。

 もともと犬が好きで、ご自身で飼っていたこともあるという福本さん。「犬には大体、好かれるね」と当然のように言われましたが、世界の盗塁王からは、犬に伝わる何か…オーラのようなものが出ているのかもしれません。

 トム君は飼い主さんにとって4代目となるトイプードル。生後2カ月くらいから飼い始め、「家に1人ぼっちはかわいそう」とお店に連れてくるようになりました。宝塚界隈ではかなり有名で、タカラジェンヌOGのブログなどに登場することもあるそうです。

 看板犬歴10年の大ベテランは、カメラを向けると小首をかしげて愛らしいポーズを取ってくれます。きっとあなたのことも歓迎してくれるはずですが、福本さんと来店が重なると、見向きもしてくれない可能性大なのでご注意を。(まいどなニュース特約・岡部充代)

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