まるで美術部!?創作を楽しむアトリエカフェ

 アニメや漫画好きが多く集まるサブカルチャー色の強い大阪・日本橋。「オタロード」と呼ばれる道にある質素なビルの5階には、曜日・昼夜問わず多くの客で賑わう、一見変わったカフェがある。「創作空間cafeアトリエ」だ。「美術部のようなカフェ」をコンセプトに掲げたこの店には、多くのイラストレーターやクリエイターが集まり、コーヒーを片手に創作を行っている。オーナーの安田佳那子さんは、「お客様はとても集中して絵を描いているので、カフェなのにとても静かなんです」と笑う。

 「美術部」といえば、小学校の美術室の油画の独特な匂いや地面の汚れを思い起こさせる。しかしそれに反するように、店内の内装は白を基調としたクリーンな印象だ。画材の貸し出しは、コピック以外無料で使用可能、ソフトドリンクは飲み放題。料理も別料金で注文できる。

 コミックアートを好む20代女性を主なターゲットとしていたものの、中高生はもちろん、4・50代の男性が水彩画を描きにくることもあるという。

 恐竜画家でもある安田さんは、カフェが多く立ち並ぶ土地で大学生活を過ごし、自分もいつか店を開きたいと考えていたという。そんな思いの傍ら、卒業後はイラストレーターとしても活動を行ってきた。そんな生活の中で抱いたある悩みが、cafeアトリエの開業のきっかけとなったという。

 「家でイラストを描くことに集中できなかったんです。だから最適な場所を探してみたものの、あまり見つからなかった。私のような人がたくさんいると思い、思いついたのがこのカフェです」

 事業計画書を書き始め、資金集めに奔走。2回に渡るクラウドファンディングでは、100万円を超える支援が集まり、開店に向けたプロモーションにもなったという。アトリエとカフェが掛け合った斬新なアイデアは多くの人の目に留まり、オープン当日から多くの客で賑わった。

 「絵を描くことが好きな人が予想以上に多く、驚きました。開業して1年以上経った今も、『ここで描くと集中できる』と好評です」

 店内では、作品の展示や委託販売も行っている。

 「この店で個展を開催したことで、それまで少なかったSNSのフォロワーが一気に増えた、という方がいました。そんな様子を見ていると、『やってよかったな』と思いますね」

 積極的に実施しているクリエイター同士の交流会や、イラストレーターを目指す人のための講座も盛況だ。

 「この店で出会った人たちが絵を見せ合ったり、アドバイスをしあうことで、交流を深める。友達になって一緒に来てくれることもあるんです」

 ここは、絵を描く人にとって本当に理想的な場所、本当は私がずっとここで絵を描いていたいくらい、と安田さん。イラストやアートを心から愛する笑顔が光る。(おふぃす・ともともライター 桑田 萌)

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