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「ひとことカード」で人生相談!?関大生協の江口さんがマジメに回答する理由

 「なぜ人は生きているのですか」

 「就職が不安です」

 「総額4万円以上の顔なのに彼氏ができません!!」

 「僕、女になりたいんですけど」

 大阪・吹田市の関西大学千里山キャンパス。生協の食堂に設置された「ひとことカード」のポストには、こうした投稿が絶えず届いている。本気か、冗談か-こればかりは投稿者にしか分からない。それでも関大生協は、これも業務の一つと受け止め、どんなに変わった投稿にも真剣に回答。食堂の掲示板に張り出すほか、回答集も作成しており、学生たちに好評だ。

 「ひとことカード」は“生協の白石さん”のブームで広く知られるようになったが、以前から全国の大学生協に存在している。食堂や購買の利用者(組合員)が生協への要望などを伝えるために活用されてきたものだ。

 関大生協では、商品やサービスに関することは各部署の担当者が回答。そして“お悩み相談”を含む「その他」を主に引き受けているのが専務理事の江口慶明さん(66)だ。今の食堂ができた2006年頃から、生協の責任者としての業務をこなしながら、休まず回答し続けてきた。多い時期は平均して1日約10本、最近では1日3本ほどのペースだという。おかげでその名前は学生たちに浸透しており、今ではわざわざ指名して投稿してくる人もいるほどだ。

 授業、将来、恋愛など“お題”は多岐にわたる。それでも「面倒だなんて思ったことは一度もありません」と余裕の笑顔。直接顔を合わせることはなくても、カードを通じて学生とやりとりできることに大学生協らしさを実感し、「自分の方が救われている」と思うことさえあるとか。回答を始めてから13年になるが、その時間を「いつの間にか」と言えるほど、自然体で向き合っている。

 投稿者の情報は、学部、学年、性別、ペンネームだけ。まずはそれをたよりに、できる限り人物像を想像するという。内容によっては1週間ほど「温めておく」のだそう。冒頭の「なぜ人は生きているのですか?」のような、たった1行の相談に20~30行の長文で答えることもある。参考文献なども示しながら実に丁寧に回答しており、その生真面目さが逆にクスッと笑える理由だったりもする。

 そこまで神経を使って回答していても、決してむやみに迎合はしない。無理な要望にはハッキリと「できません」と答え、その理由まで論理的に説明。「彼女がほしい」という悩みに対し、「なぜ彼女がほしいと思うのか」と逆に質問し返すこともある。おかげで批判めいた投稿をされることもあるが、逆に「来た!」と面白くなってくるとのこと。過去にはカード上での議論が白熱し、最大で4往復したこともある。

 「(大学生たるもの)自分が何気なく言ったり思ったりしていることに対して“その前提は本当に正しいのか”と問い直せる人になってほしい」と江口さん。何やら哲学者のような言葉だが、これも学生たちを想う気持ちがあってこそだ。(デイリースポーツ特約記者・福岡 桃)

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