受験生に朗報?浪人でも前向きに あえて“多浪”を押し出す名門大学のサークル

 今週末は大学入試センター試験。いよいよ受験シーズンが到来しました。みんなが志望校に合格できればいいのですが、定員が決まっている以上、少なからず“浪人生”となる人も存在。一般的に浪人回数を重ねることはネガティブにも捉えられます。ところが関西の名門・阪大(大阪大学)に、自らが“多浪”経験者であることを前面に押し出して活動しているサークルがあるとのこと。その名も「大阪大学多浪の会」。会員数45名の浪人回数を合計すると“115浪”という会のメンバーに、その独特の活動内容を聞きました。

 「全学生の中で圧倒的なマイノリティーによるコミュニティーを作りたいという思いからサークルを立ち上げました」。そう語るのは2016年に結成した同会で会長を務めるK.I.さん(26)。大学院理学研究科で数学を学ぶ3浪経験者です。

 平成30年度の文科省学校基本調査によると、全国の大学入学者約63万人のうち1浪経験者は10万人を超えますが、2浪は2万人弱、3浪ともなると6000人弱と大幅減。多浪生はかなりの少数派です。そんな珍しい存在が集まれば『何か面白いことができるのでは』という気持ちから始まったサークル活動。入学時点で20歳超えという特徴を活かし、お酒を飲みながら多浪ならではの悩みを打ち明けるなどして親睦を深めています。

 就職に不利とされるなど、多浪というとマイナス面ばかりが注目されがちですが、元々は“こだわり”があったからこその浪人生活だったそうです。「どうしてもロシア語を学びたかったがために2浪した」という会員や「医学部を目指して浪人回数を重ねた」学生など、彼らには明確な目標があったといいます。つまり「多浪」はリスクがあっても挑戦してきた結果。同会のメンバーは、そう前向きに捉えています。

 同会のメンバーは学園祭や地域のイベントに参加し、出し物などでネガティブなイメージの“多浪”を自分たちのアイデンティティーとして、むしろ前面に出します。K.I.さんによると、そうすることで周りに笑顔を届けられ、自分たちも楽しめたそうです。

 「目新しさから興味を持ってもらえることも多く、学祭の時など遠方から訪ねてきてくれる人もいます。多浪であることは本当にデメリットばかりなのか、就職活動の結果も実際はどうなのか、記録をとりながら考えています」

 多浪であることで日常的にもっとも不都合を感じるのは周りの学生との年齢差。同期の友人からは、普段敬語を使って話している先輩よりもさらに年上の多浪生に対し、どう接すればいいのかわからないと言われることもあるのだとか。たとえ数年であれ、若い学生にとっては大きな差のようです。

 入学当初は年下ばかりの同級生の中でうまくやっていけるのか不安を感じる多浪生も多いそうですが、会で同じ境遇の人と知り合い交流するうちに気が楽になるといいます。メンバーの大半は普段は別のサークルやクラブに所属し、時間が合う時に多浪の会の活動に参加。会に所属することが学生生活を楽しむ上で、心のよりどころになっているのかもしれません。

 同会には受験生や浪人生から悩みや相談が寄せられることもあるといいます。「やる気が出ない時はどうしていたか」「○○学部に多浪生は何人いるか」といった具体的な質問から、中には「気持ちを奮い立たせてください」といった励ましを求める声もあるそうです。「わたしたちの特異な経験が役に立つかはわかりませんが、何かの助けになれば。回答した受験生から『頑張ります』とお礼を言われるとやはりうれしいです」とK.I.さん。入試を前に、不安や質問したいことがある受験生はLINEで声をかけてみては。(フリーライター・たまの みか)

※大阪大学多浪の会LINE@:https://line.me/R/ti/p/%40twa9918r

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