未解決事件の新事実が時を経て出る理由は…風化防止と犯人への重圧、小川泰平氏が指摘

 平成の主な未解決事件に関する新情報が今年5月から8月にかけて次々に報じられた。法改正前であれば時効を迎えていた数々の事件から、今も時間を経て新たな事実が出てくることには、どのような理由が考えられるだろうか。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏がデイリースポーツに見解をつづった。平成が終わっても、事件の真相究明に終わりはない。

   ◇  ◇

 まずは、ここ3か月で発表された新情報をまとめてみよう。

 2000年12月に東京・世田谷区で一家4人が殺害された事件では、警視庁が5月に「現場に遺留された犯人のヒップバッグ」についての詳細を発表し、犯人は「15歳から20歳代の可能性がある」という若年層の犯人像を提示した。

 さらに8月3日には、この18年前の「世田谷一家殺人事件」の追加情報が明かされた。そのヒップバッグから犯人の毛髪が見つかったと発表されたのだ。見つかった毛髪は2本で、長さ約2・5センチと約1・5ミリで黒色と黒褐色。長い方の毛髪を鑑定したところ、現場に残されていた犯人の血痕のDNA型と一致したという。また、現場の足跡の解析から犯人が履いていたとみている韓国製の靴の3D画像も公開された。

 それ以前にも、2つの事件に関して注目すべき事実が出てきた。

 5月には、03年5月に大阪・熊取町で当時小学4年の少女が行方不明になった事件について、連れ去ったとみられる男と少女が乗っていた車種が「白色のクラウン」という目撃情報が大阪府警の捜査関係者への取材を通して報じられた。ちょうど15年がたっていた。

 7月には、1995年7月に東京・八王子市内のスーパーで女性スタッフ3人が何者かに射殺された「八王子ナンペイ事件」で、犯人がはいていた可能性のあるスニーカーのレプリカが警視庁によって公開され、シンク脇の灰皿にあった煙草の吸殻から女性のDNAが検出されたことも公表された。凄惨(せいさん)な事件から23年がたった今、具体的な情報が発表された。

 時効の廃止や延長を盛り込んだ改正刑事訴訟法が10年に施行されたことも、未解決事件の新情報が時間を経て出てくる背景にあるだろう。事件が解決するまで、警察は捜査を続けているということを社会にアピールする意味もある。だが、私は、それとは違った意図もあると考えている。

 一番大きい理由は事件の風化を防ぐことである。懸賞金制度もその1つである。

 他には、新情報を公開することで、犯人にプレッシャーをかけ、「もう逃げ切れない」と追い込む効果を期待しているということだ。さらには、事件が改めて話題になることで、犯人が仲間や知人等に犯行に関することをしゃべったり、「あれは俺がやった」「あの事件の犯人を知っている」などど口を滑らせる可能性もある。

 事件に関しては噂(うわさ)話のレベルでも、どんな些細(ささい)な情報でも警察は求めています。ご協力をお願いします。

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