「西国三十三所」スイーツ巡礼 名物食べ歩きでご利益も!?

 日本最古の巡礼ルート「西国三十三所」の“スイーツ巡礼”が話題を呼んでいる。各札所の名物を食べ歩きしながら、ご利益にもあずかろうというユニークなプラン。今年草創1300年を迎えた巡礼の新たな形だ。そこで西国18番札所である京都の「六角堂」頂法寺を訪ねた。

 西国三十三所のそもそもの始まりは718年。奈良・長谷寺の徳道上人が62歳の時、病のため仮死状態に陥った際に夢の中で閻魔(えんま)大王と会い、託宣を受けたことに由来する。

 「お前はまだ死ぬことを許さない。世の中には悩み苦しむ人々がたくさんいる。そんな悩める人々を救うため、三十三所の観音霊場をつくり、巡礼を広めよ」

 この巡礼は一時途絶えたが、約270年後に花山法皇によって再興され、江戸時代には大ブームになったという。西国とは江戸から見た西の意味。札所は近畿2府4県と岐阜にまたがる。1番札所「青岸渡寺」は和歌山にあり、岐阜の「華厳寺」がゴールとなる。

 三十三という数字にも意味がある。六角堂の執事で西国札所会の広報担当でもある田中良宜さん(51)によると「33は無限の数を表しており、観音様がときに親であったり、ときに友人であったり、身近な存在に姿を変え、救ってくださっている」とのこと。また巡礼は1番から順番に回る必要はなく、大切なのは感謝の心と謙虚な気持ちだという。意外なことに観音様には「性別がない」ことも付け加えてくれた。

 奈良時代から続いてきた巡礼文化。前置きが長くなったが、各札所の名物菓子も時代の中で巡礼者とふれあいながら発展してきた歴史がある。だから今回のスイーツ巡礼の企画も一気に進展した。

 「昔からお寺の門前には茶店や宿場があり、おいしいお菓子を出していました。なので『食べながら巡るのもありでは』ということになりまして。“それぞれのお寺に饅頭あるやろ”と。そしたら“あるある。やろやろ”となって満場一致で決まりました」と田中さん。いまでは合計130種類以上のスイーツがそろっている。

 六角堂の名物は、この建物が京都の中心にあることに由来する「へそ石餅」。六角形のお餅にきな粉をまぶせ、小豆のあんこが少々。抹茶との相性(セット500円)は抜群だ。この他にも見た目が鮮やかな六波羅蜜寺の「幽霊子育飴」や勝負の神様といわれる勝尾寺の「勝ちだるまチョコクランチ」「勝ちグミ」が人気だという。

 スイーツ巡礼は2020年まで開催される記念イベントの一環。中には白装束に身を包み、1300年前の巡礼を再現したような「徒歩巡礼 法灯リレー」もある。その距離何と1000キロ以上。本格的なコースでも甘いスイーツは欠かせそうにない。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)

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