うなぎはワンコインから高級店まで選択肢も多様化 意外と低カロリーなんです

絶妙の蒸し具合と焼き加減を堪能できる「尾花」のうな重=東京・南千住
うなぎの名店「尾花」の入口=東京・南千住
「宇奈とと」の500円ワンコインうな丼
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 「土用の丑(うし)の日」といえば、うなぎで精を付けて暑い夏を乗り切るという習慣が定着している。ヤフー検索の調べによると、今の時期にその関連ワードを検索するユーザーが増えるという。「二の丑」の8月1日を前に、うなぎについて考えてみた。

 まず、うなぎのカロリーを確認してみた。文科省の「日本食品標準成分表」(2015年)によると、100グラムあたり255キロカロリー。うな重やうな丼でご飯一杯分(150グラム)の約250キロカロリーを合わせても500キロカロリーを少し超える程度。カロリー的には高くない。ビタミンAとビタミンDの成分が高く、美容効果や疲労回復効果を期待できるとされている。

 江戸時代、夏にうなぎの需要を高めるため「土用の丑の日 うなぎの日」という宣伝文句で売り出されたとされる通り、旬は夏よりも冬。実際、映画界の巨匠・小津安二郎監督は昭和20~30年代、スタッフらと毎年の大みそかに東京・南千住の名店「尾花」でうなぎを食べていたという。

 小津監督の代表作「東京物語」から遺作の「秋刀魚の味」まで7作の音楽を担当した作曲家・斎藤高順(たかのぶ)氏の次男・斎藤民夫氏は「小津監督が大みそかにうなぎを食べることにしたのは『うなぎのように太く長く生きたい』という願掛けのためだったそうです。宴会後は都電に乗って浅草寺へ初詣に行かれていたということです」と証言した。

 さらに同氏は「今年5月、私も念願だった『尾花』に行く機会がありました。うな重とお新香、冷酒は最高に美味でした。たまにはこのような名店で、ぜいたくなひと時を過ごしてみるのも大切だな…と思える豊かな時間でした」と振り返る。

 「尾花」は行列ができる東京でも有数の人気店。「一の丑」の直前に同店を訪れた。

 開店前、炎天下の路上で行列に混じって約50分、入店後も注文を受けて調理に入るということで大広間で約45分、待った末に眼前に登場したうな重のふたを開けた瞬間、不覚にも軽いめまいを覚えた。東京と大阪で展開する有名チェーン店「名代 宇奈とと」のうな丼(税込500円)を食べ慣れた者にとって、重箱の中には未知の世界が広がっていた。

 一口ほおばると、1時間半以上も待ったかいがあったと実感。うな重の小サイズでも、先述のうな丼11食分の値段となる一箱を約10分間で平らげた。うまくないわけがない。

 斎藤氏は「小津監督は当時、皿からこぼれ落ちそうなくらい大きなうなぎの大串をスタッフに振舞っていたそうです。父は見たこともないようなうなぎの大串に仰天したとのことでした」という。夢のような話である。

 そんな風に年に1度でも最高級のうなぎを味わえたらと思いつつ、コストパフォーマンスに定評のある「宇奈とと」のワンコインうな丼を「二の丑」を前に食した。その選択肢も多様化している。

 (デイリースポーツ・北村泰介)

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