もうすぐ父の日…今年のトレンドは「父子の距離を縮めるきっかけ」

 「母の日」に比べ忘れられがちな「父の日」。それは家庭における父親の存在感を映しているようだが、今年の父の日商戦には、普段は疎遠な父親のことを考えるきっかけを作る提案やコミュニケーションを促すためのギフト企画が目立つ。

 5月下旬、大阪市内で「シンガーソングライター教室(超入門)」が開かれた。企画したのは、次世代リーダー向けのスクールを企画・運営するアンドシング株式会社(大阪市)。この日のテーマは「父の日ミニソングをつくろう」。参加した30代、40代の男女6人が2人1組になって父親との思い出や、感謝の気持ちをどのような言葉で伝えたいかをお互いに引き出した。

 参加者は「手がグローブのようなお父さん」「不器用だけど工作好きなお父さん」の言葉をちりばめた歌詞作りに挑んだ。講師を務めたyu-ka(馬場優果)さんは「曲という手法だからこそ気持ちを伝えやすい。お父さんへの気付かなかった思いを確かめるきっかけにもなっていたようです」と語る。

 日本生命保険が昨年発表したアンケート結果によると「父の日」にプレゼントを贈る人の割合は42・7%で調査開始以来4年連続で低下。4・6ポイント上昇し76・2%となった「母の日」との格差は広がる一方だ。

 今月1日に改装オープンした阪神百貨店梅田本店。今年の父の日のテーマは“「何がいいんだろう」…のモヤモヤはもうなくなる”。6階の紳士服・雑貨売り場では、父親と仲の良い20代、30代の女性スタッフが待機し、「お父さんの気持ちに寄り添ったプレゼントをアドバイスする」という。「お母さんに比べて、お父さんとは普段コミュニケーションがどうしても希薄になりがちで、何を贈ってよいのか分からないという声が多かったため企画しました」(エイチ・ツー・オー リテイリング広報室)。父親の好みを踏まえつつ、シャツとパンツ、靴のトータルコーディネートなどを提案する。

 例年、父の日ギフトで人気なのは、ビールやワイン、日本酒などのお酒類、おつまみになるような食品、ファッション小物など。しかし、通販大手のディノス・セシールが企画する「父の日」特集の提案では、父親とのコミュニケーションを促す商品が目立つ。一例が将棋盤と駒のセット。「藤井聡太7段の活躍により空前の将棋ブームが到来していることもあり、お父さまとの差し向かいでの対局をお勧めしたい」と同社担当者。このほか、体験型ギフトの品ぞろえも充実させている。

 その一つが「運動不足のお父さんに動くことのきっかけと、その楽しみを贈ろう!」をコンセプトに企画された「体を動かす楽しみギフト」だ。流行のボルダリングやヨガ、ロードバイクやサーフィンなど、体を動かすアクティビティの中から選んで体験できる。

 母親に比べて普段の関わりが少ない父親だからこそ、プレゼント選びの過程、プレゼントそのものにおいても父子をつなぐ役割が求められているようだ。最後に忘れずに書いておく。今年の父の日は6月17日。(デイリースポーツ特約記者・山口裕史)

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