神戸の“秘境”菊水山駅は今…駅跡は「立入禁止」も、車窓から確認

神戸電鉄の車窓から確認できる菊水山駅のホーム跡。かつて屋根の下にあったイス4個は撤去されていた(2018年5月撮影)
営業休止の半年前、駅に乗降できた当時の菊水山駅(2004年9月撮影)
神戸電鉄車内の路線案内表示で鵯越と鈴蘭台の間にあった菊水山は黒いテープで消されていた
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 六甲山系の“秘境駅”として鉄道ファンに知られる神戸電鉄有馬線の「菊水山(きくすいやま)駅」(神戸市北区)。3月23日の廃止発表から1カ月半を経た現状を体感した。

 同線の鵯越(ひよどりごえ)駅と鈴蘭台駅との間にある無人駅で、標高173メートル。菊水山を歩くハイカーに親しまれたが、利用客の少なさから2005年3月に営業休止。その後の13年間は「菊水山には止まりません」という車内アナウンスと共に素通りされる“休眠駅”となる。結局、再開のめどは立たず、1940年10月の開業から77年5カ月の歴史に終止符を打った。

 筆者は90年代から02年にかけて同沿線にある長田駅近くに住んでいた。その時期、新開地駅と鈴蘭台・西鈴蘭台駅間を走る普通電車の一部は、1~2時間に1本とはいえ、菊水山駅に停車していたのだが、恥ずかしながら一度も降りたことがない。今さらではあるが、失われた時を埋め合わせるべく、東京から菊水山へと向かった。

 神戸電鉄の湊川駅から下りに乗車。車内の路線案内表示では、鵯越と鈴蘭台の間にあるはずの駅(菊水山)が応急処置的に黒いテープで消されている。1駅前の鵯越駅で降り、1キロ弱の距離を歩いて近づくことにした。

 駅員に道を尋ねると、「絶対、駅には入らないでください」とクギを刺された。同じ神戸で“マヤ遺跡”と称される摩耶山の「摩耶観光ホテル」(同市灘区)と同様の「立入禁止」扱いだ。線路沿いに道はなく、草木が茂る山中を遠回りした。

 起伏のある山道を抜けると、車が1台通れる道に出た。前には鈴蘭台下水処理場。遠くから砂防ダムの水音が聞こえる。駅に近づくと予想した坂道を登り切ると行き止まりで、錠の掛かった鉄門に行き場を失った。元来た道を引き返すも、曲がり角を間違え、道すらない地帯に迷い込んだ。マムシが出てきそうな雰囲気の中、さらに草木をかき分けて進むと、「立入禁止 神戸市水道局」と描かれたボードが枯れ木に結わえ付けられていた。

 このままでは日が暮れてしまう。駅跡への接近は断念。車窓から確認することに切り替え、鵯越駅に戻った。

 鵯越~鈴蘭台間を往復した。ゆるやかなカーブを描く道中に菊水山駅跡はあった。上りホームのイスは撤去されてしまったが、雨よけの屋根は残っている。対面には細長い下りホーム。いずれも水色の手すりと階段は残るが、双方を包み込むように背後から樹木がせり出す。人間が入る余地は全くなかった。

 完全撤去の日について、神戸電鉄経営企画部はデイリースポーツの取材に対して「ホームの木材部分は既に撤去しましたが、残っているものについては今のところ予定はありません」と説明した。実際に近づくことが困難な状況から、一瞬の車窓風景を現地で確かめるか、愛好家がSNSに投稿した動画や画像を通して思いをはせることになりそうだ。(デイリースポーツ・北村泰介)

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