“アジア最大”ドッグショーの実態 勝敗なし、賞金も出ない…犬と人間の名誉求める

 日本最大規模の「FCIジャパンインターナショナルドッグショー2018」(3月31日~4月1日、東京ビッグサイト)が134種・2176頭の犬と約6万の人間を集めて盛大に開催された。“アジア最大”とも言われるだけに、中国語をはじめ複数言語が飛び交うインターナショナルな空間だったが、その実態は一般層にまでは浸透していない。“ドッグショー”とは何かという視点で現場をリポートする。

 審査は「個体審査」と「歩様(ほよう)審査」の2種類。前者では審査員が患者を触診する医師のように犬の体を見たり触って、その特徴をジャッジ。後者では、犬がハンドラー(エスコートする人)に引かれて、グルグルと円を描いたり、直線に歩くなどして体のバランスや訓練度合いを披露。そこから選ばれた各犬種の代表が次のステージに進む。

 パピー(小型)クラスの「ベストパピーインショー審査」と、生後9カ月1日以上の犬が対象の「ベストインショー(BIS)審査」に別れる。後者では、最後に残ったオスの「キング」とメスの「クイーン」が比較され、どちらかが最優秀犬「BIS」に輝く。

 今年、「日本一の犬」として最高の栄誉に輝いたのは「ボルゾイ」という犬種で“キャビアちゃん”と名付けられた2歳半のメス。ボルゾイとはロシア原産で視力が優れた獣猟犬サイトハウンドのこと。スリムな体と白い毛並みの美しさ、肝の据わった落ち着きと知的な雰囲気が印象に残った。クイーンの「伝説のチャンピオン」が鳴り響く表彰式後、観客席からの大歓声を浴びながらリングをウィニングランした。

 オーナーでハンドラーも務めた安蒜(あんびる)典江さん(千葉県浦安市)は「キャビアちゃんは明るくてご飯が大好きな子。毎日走って、運動して、エサでサプリも採って筋肉を付けました。日々の努力が報われました」と感無量。「これからもいっぱい走らせてあげたい。来年も頑張ります」と誓った。

 改めて、ドッグショーとは何か。優劣を競っているようでいて、その実、勝ち負けに価値を置かないという点がポイントなのだ。

 主催する一般社団法人ジャパンケネルクラブは「勝ち負けを争うのではなく、純粋犬種の理想像にいかに近いかを審査する品評会です」と説明。そのスタンスの通り、賞金は出ない。その現場で評価されることが名誉となり、今後の繁殖に活かされていくという。つまり“ハク”が付く。

 また、会場にはドッグフードやシャンプー、ハサミなどのグッズが並ぶ出展ブースもあり、犬と人が一緒に見学する様が面白い。人間のトイレの近くには犬用トイレもあった。

 お金では買えない名誉を求めた“人犬一体”の場。それがドッグショーだった。(デイリースポーツ・北村泰介)

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