「子ども食堂」で話題の天野雅博氏に全国から出店要請 大阪では“刑務所メニュー”も

 288円定食を切り口に話題となっている東京・新宿区の「定食酒場食堂」。開店3周年を迎える3月には“孤食”を余儀なくされる小中高校生に食事を無料提供する「子ども食堂」を始めた。自ら厨房に立つオーナーは、昨年出版された「ゼロポイント」など5冊のビジネス書を出した天野雅博氏(50)だ。

 「高校生が食べに来ましたけど、余計なことは一切聞きません。別に“いいこと”やってるつもりはない。交差点を渡るおばあちゃんを助けたり、目の前を歩く人が落とした財布を拾って渡すことがいいことなのかって。当たり前のことでしょう。子どもが腹減らせて来たら食べさせますよ。食堂ができることの一つでしかない」

 “子ども”以外の来店者にもやさしい。日替わりランチが288円。「ナポリタン80円」などの格安メニューと共に「悩むなら食え!!」といった手書きメッセージが貼られている。無料でも子どもが気兼ねなく過ごせる食堂だ。

 乳児の頃から北海道と愛知県の児童養護施設で育った。腹を空かせた子どもの気持ちは人一番分かる。少年院に3度入った。「自由を剥奪される体験が今となってはよかったと思いますよ」。大人になって自由な発想が爆発した。かつて「居酒屋革命」というチェーン店をプロデュース。ブームとなり“カリスマ経営者”と称された。今はボランティアのスタッフと早朝から深夜まで店を切り盛りする。常連客に支えられながら、素材を仕入れ、フライパンを振る。

 全国から出店要望がある。昨年7月開店の札幌店に続き、今夏までに大阪店をオープン予定。「店で修行したスタッフへののれん分けです。47都道府県に1店舗ずつ『俺がやる』という人がいれば、それぞれの空気感でやってもらえればいい」

 大阪店では“刑務所メニュー”を提供し、出所した人たちの雇用も促進する。「通過点。目標なんてない。この仕事が俺の最後の職業と決めてるんで死ぬまでやりますよ」。マンモスチェーン店にはできない企画を具現化する「食堂」という“小さな巨人”の足音が全国に響きつつある。(デイリースポーツ・北村泰介)

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