カジュアルな「学び直し」がブームに 社会人89%再教育に興味あり

 時間に余裕ができた大人たちが勉強し直すという“学び直し”が注目を集めている。歴史の教科書で有名な山川出版社から高校の教科書を一般向けに書き直された「もう一度読む」シリーズが2009年8月に発売され、人気を集めるなど、仕事に必要な知識やスキルアップのためではなく、ただ自分のために学びたい欲求が高まっているようだ。

 文部科学省によると、社会人の意識調査において、89%の人が、再教育を「受けたい」又は「興味がある」と回答。ただ、現状では大学院進学や高等教育機関での学び直しは費用が高すぎる、十分な時間がないなどまだまだハードルは高い印象だ。

 そこで、もっと気軽に学べる場として、学生時代の同級生が集まって、勉強し直しているサークルがある。6年前から府内の私立高校を卒業した50代の女性たちが、大阪市中央区のカルチャーサロン「にほんご茶論」で月に1度、古典教室を開いている。大きなデスクの中心にお菓子や飲み物がある点は学生とは違うが、先生がホワイトボードに書いた解説をしっかりメモに取り、疑問点には質問をぶつけている。サロンを主宰する渡辺さんは「このサロンの工事をしている時にちょうど高校の同窓会があって、現代国語と古典の先生だった担任に『先生も古典を教えてください』とお願いしたことがきっかけ。同級生や先輩も習いたいと人数が増えてきて、いつも満員状態です。学生の時は友達に会いたいとか学びたくて学校に行っていたわけじゃないけど、今の歳になってから学びたいという欲が強くなった。筆箱がすごく新鮮だった」と当時を振り返る。

 これまでの5年間で平家物語や源氏物語、百人一首などを再勉強。古事記が取り上げられた時には、ちょうど奈良県立美術館で開催中だった大古事記展へ足を運ぶなど“課外授業”も不定期で開催し、さらに知識を吸収しているという。今は退職し、古典教室で教えている和泉静男先生(72)は「最初は軽いノリで誘ってもらったけど、この人たちに教えるようになったことで専門外のところも調べたり、奈良まで古墳を見に行ったり、自分の中でも知識が広がった。自分にとっては良かったと思う」と相乗効果に目を細める。わざわざ高等教育機関に通わなくてもできるカジュアルな学び直しはこれからさらに広がっていきそうだ。(デイリースポーツ特約記者・持井麻衣)

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