活版印刷に人気ジワリ クラウドファンディングで資金調達

 Echos主宰の沖那菜子さん
 日本に数台しか無い印刷機「ヴァンダークック」。今回のイベントにも登場する
 イベント告知のフライヤーも活版印刷
3枚

 印刷物の大量生産と大量消費を可能にしたデジタル印刷が主流となっている時代だが、ここ数年、それに逆行するかのように、アナログな活版印刷の人気が高まってきている。

 この週末の14日(土)、15日(日)に西日本最大級の活版印刷イベント「活版WEST(ウエスト)」が大阪で初めて開催される。東京では3年前から「活版TOKYO」が開かれており、そこに関西からも出展したことや、同イベント運営者の協力により関西でも横の繋がりができたことから、実現に向けて動き出した。

 これまでにも関西では複数の活版印刷所が協力し、一般向けのワークショップなどで魅力を発信してきたが、今回は近畿だけでなく中国・四国・九州から約20社が一堂に集結する大規模なものとなる。

 技術者の高齢化や印刷技術の発達により、活版印刷所の数は減少したが、デジタル印刷には無い温かみのある風合いや手触りの良さが若い世代にも見直され、家業の継承としてだけではなく、一からこの世界に飛び込む人も現れるなど、再興の兆しを見せている。

 活版WEST実行委員の沖那菜子さんも、その一人だ。先月、常設の活版印刷ワークスペース”Echos(エコース)”を大阪市内に開設したばかり。初心者でも参加できるワークショップを定期的に開いており、スペースは活版WESTの会場としても開放する。

 開設にあたっては、クラウドファンディングで資金を調達した。約2か月で118人の支援者、約117万円の資金が集まり、印刷機の導入などに充てることができた。支援者の中には同業者や知人もいたが、その他は見知らぬ人達だった。「共感してくれる人がどれくらいいるのか不安でしたが、私が思う以上に活版印刷に興味を持っている人が多いことに驚きました」。

 他の出展者にも、この世界に初めて入った人が多い。だからこそ、活版印刷のあり方について堅苦しく考えず、「みんなで楽しくやろうよ」という柔軟な気持ちでいられるという。「それぞれの印刷所が、自分たちの好きな表現方法で楽しく活動していることを、来てくれた人に伝えたい」と沖さんは話している。

 活版WESTは10月14日(土)と15日(日)の11:00~18:00、大阪市中央区博労町のbriq SHINSO BLDG.で開催。100種類以上の製品が出揃い、ポスターやカレンダーなどの印刷体験、古今東西の活版印刷事情について各地からの出展者が語り合うトークショーなどを企画している。(デイリースポーツ特約記者・福岡桃)

◆活版WESTのホームページ http://www.kappan-west.com/

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