お寺でディスコイベント!?ミラーボール輝く境内で体揺らす
本堂の正面にはDJブースが設けられ、ミラーボールが吊るされた特設ステージではノリのいいソウルやレゲエのライブ演奏が続く。9日、大阪府交野(かたの)市の槃若(はんにゃ)寺で「寺ディスコ」なるイベントが開かれた。お寺が闇に包まれる時間になるとカクテル光線に照らされたミラーボールが輝き出し、老若男女が音楽のリズムに合わせ体を揺らせた。
「大人のための遊び場」をつくろうと大阪で数多くの音楽、アートイベントをプロデュースしている交野市出身のデザイナー、川村明寛さんが同級生らと企画した。「こうの、こうやと呼ばれるなど交野は大阪府のなかでもあまり知られていない土地。若い人も地元に残らず大阪(市内)や京都に出て行ってしまうケースが多い。ここで育てられた恩返しとして交野を外に広く知ってもらうイベントができないかと考えていた」と川村さん。幅広い世代を呼ぶ仕掛けとして若者の間にブームが再来しているディスコに着目し「屋外でだれもが集まりやすい場所を考えてお寺を会場に選んだ」と話す。
瓦屋根のお堂がどっしりとした存在感を放つ槃若寺の入口周辺では、アーチストがライブペインティングを披露。境内にはバーなどの屋台も出店した。交野市の清酒蔵元、山野酒造は地元産の米と生駒の水で醸した純米吟醸酒「織姫の里」を無償で提供した。「川村さんの思いを意気に感じた。広く大阪から人が集まるイベントなら交野の地酒を知ってもらえる良い機会になる」と社長の山野久幸さん。
ディスコとライブとアートイベントが渾然一体となって境内を彩る雰囲気に槃若寺の住職、般谷日勇(はんや・にちゆう)さんは「はじめはもちろん不安はありましたが、若者たちの笑顔があふれている様子を見てあらためてイベントの意義を感じた」と話す。同寺では20数年前から学校や家庭に居場所のない子どもたちに集まりの場を提供し、12年前からは盆踊りも始めるなど地域のコミュニティとしての役割を果たしてきた。「それでもお寺は多くの人にとってまだまだ近寄りがたい場所になっている。仏教の教えの土台は和であり、お祭りは出会いの場。音楽とアートを媒介に一体になれる場を若い人たちが求めているのなら喜んで場を提供したいし、継続していきたい」と話す。
14時からスタートした「寺ディスコ」。境内は地元交野市だけでなく大阪や京都など遠方からも来場者を集め夜9時までディスコ音楽に酔いしれた。(デイリースポーツ特約記者・山口裕史)