浅野 PK譲らず代表初ゴール
「キリン杯、日本7-2ブルガリア」(3日、豊田スタジアム)
譲れない意地があった。終了間際の後半42分、右サイドを突破したFW浅野拓磨(広島)がペナルティーエリア内で倒されPKを獲得。ハリルホジッチ監督はキッカーにFW宇佐美貴史(G大阪)を指名したが、背番号18はボールを抱えたままペナルティースポットから動こうとしなかった。
「PKだろうとゴールという結果にこだわりたかった」。浅野の思いをくみ、ピッチ内の選手もベンチメンバーも浅野に蹴らせようと声を上げた。根負けした指揮官は「勇気のある人間だ」とGOサイン。浅野はゴール右隅に念願の国際Aマッチ初ゴールを沈め、両手の爪を立てるトレードマークの“ジャガーポーズ”を決めた。
実家のある三重県菰野町から近い豊田スタジアムでの一戦とあって、スタンドには家族や親戚らが駆け付けた。PKの瞬間、母都姉子さん(50)は直視することができず両手を合わせ、目を閉じて祈った。家族の前で記念の一発を決め、「活躍する姿を見せられてうれしい。もっと強い姿を見せられれば」。野獣は優しいまなざしでさらなる飛躍を誓った。