ヒデ&カズも集結!「僕と彼とのつながりは、サッカーに始まりサッカーに終わった」

 【2012年1月23日付デイリースポーツ紙面より】

 昨年8月4日に急性心筋梗塞のため34歳で亡くなったサッカー元日本代表DF松田直樹さんの追悼試合が22日、横浜市の日産スタジアムに4万475人の観衆を集めて行われた。試合はJ1横浜Mで同期の安永聡太郎氏(35)ら、生前に親交の深かったメンバーが計画。松田さんがプロ生活のほとんどを過ごした横浜Mの現役選手やOB、最後に所属したJ2松本の選手、FW三浦知良(44)=J2横浜FC=やMF中田英寿氏(35)をはじめとする日本代表時代の仲間ら豪華メンバーが集結。熱のこもったプレーで松田さんをしのんだ。

 中央に「3」と書かれたピッチ。松田さんが長年着用した背番号の上で、松田さんを愛したメンバーが、大好きだったサッカーを届けた。カズは得意のまたぎフェイントのほか、ボレー、オーバーヘッドを披露。「もうちょっとゴールがでかかったら入ってたね。どっかでマツ(松田さん)も見て喜んでくれたかな」と優しい笑顔を見せた。

 松田さんとの思い出には、2試合を挙げた。1つは95年のJ1年間王者決定戦。V川崎(現J2東京V)時代のカズは、松田さんのいた横浜Mに完敗。「(松田さんは)高校を卒業して1年ほどだったけど、ルーキーらしからぬいいDFが出てきたと肌で感じた」と、しみじみと話す。

 借りを返せたのは神戸時代の6年後。リーグ最終節の横浜M戦でゴールを決めた。「マツと波戸選手の間をうまく抜けて『やったやった』と思ったよ」。試合は引き分けたが、横浜Mは負ければJ2降格の危機だった。「威圧感のある顔をしてた」と、なつかしそうに振り返った。

 中学時代から交流があった中田氏は「僕にとって感慨深いものはあった。僕と彼とのつながりは、サッカーに始まりサッカーに終わった」。お互いに「はっきりものを言うタイプ」というが「非常にいいコンビだったと思う。戦友というよりも、サッカーを外れたときの思い出の方が残ってますね」と話した。

 旧友の熱い思いが、不思議な現象を呼び起こした。大会実行委員長である安永氏のあいさつの途中。「直樹は本当にみんなに会えて喜んでくれていると思う」と話した直後、スピーカーから原因不明のノイズが聞こえた。「直樹のイタズラです。こういうやつなんです」。スタジアム中の人々が、松田さんが見ていたことを感じた。

 午前中は降り続いていた雨もいつしかやんで、空は晴れわたっていた。松田さんは確かに見ていた。

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