【福西崇史 熱血EYE】ボランチ守田が台頭 より競争激しく

 「W杯アジア2次予選、日本5-1キルギス」(15日、パナソニックスタジアム吹田)

 日本は5得点で快勝し、アジア2次予選を8戦全勝で終えた。デイリースポーツ評論家の福西崇史氏がF組日本の戦いを振り返った。

  ◇  ◇

 2次予選を振り返ると、そもそも日本と他チームに力の差があり、それがコロナ禍によってさらに顕著になった印象だ。明らかにコンディションに差があり、14-0とか10-0とか普通ならありえないスコアが続いた。

 とはいえ、相手や環境を選べるわけではないので、日本はそれぞれの状況の中でベストを尽くしたと思う。ポジティブな面で言えば、攻撃陣は最終予選へ向けたいい練習ができた。いくら力の差があっても2桁の点はなかなか取れない。レギュラー級の選手が結果を出し、定位置を狙う選手も奮起する、という競争が常にあったのは評価できる。

 この2次予選中にボランチの遠藤航が攻撃的な部分で成長し、日本代表の中心選手になった。印象的だったのはコンビを組む守田で、柴崎不在の間に頭角を現した。川崎時代からポジショニングがよく、落ち着いた選手だったが、海外に移籍してボールを奪う強さが出てきた。攻撃につなげる部分でも、クレバーにプレーできるようになった。

 このポジションはライバルも多い。橋本も黙っていないだろうし、U-24代表の田中碧も東京五輪後には加わってくるはずだ。もちろん攻撃のパスセンスなら今でも柴崎が抜けているし、ハイレベルな争いが楽しみだ。

 2列目も同じで、南野や鎌田、伊東、原口らに、堂安、久保建らの五輪代表世代が加わり、どんなメンバーの組み合わせになるのか。想像もつかないほど競争は激しい。

 森保監督もテーマにする大迫不在時の1トップは、国際親善試合のセルビア戦では古橋がうまく機能しなかった。2次予選の最後にオナイウが3得点と猛アピールしたが、最終予選、W杯本戦で通用するかどうかは未知数だ。

 オナイウが大迫レベルまで成長すれば話は早いが、そう簡単でない。それこそ今後、より厳しい最終予選などを経験して力をつけていくものだ。古橋や浅野らと組み合わせた2トップや、豊富な2列目のタレントを生かすゼロトップのような形もありえるのか。まだ具体像は見えていない状況だ。

 心配なのが守備面だ。以前の2次予選なら1位突破のために絶対に負けられない試合、必ず勝たねばならないピリピリした試合が必ずあったものだ。だが今回は、それがなかった。キルギス戦の前半終了間際に守田が不用意なファウルで相手にPKを与えてしまったが、あのようなもったいない失点は最終予選では命取りになる。

 常に緊張感を持って戦う必要があるし、チーム内の競争も必要だ。センターバックは吉田、冨安が中心なのは間違いないが、彼らを脅かす選手の出現にも期待したい。(02年日韓、06年ドイツW杯日本代表=デイリースポーツ評論家)

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