J1広島・MF土肥は明るさと実力を兼ね備えた期待の新星

 今季、既に4得点を決めているJ1広島の浅野雄也が、こんな台詞(せりふ)を吐いた。

 「土肥航大は、俺の弟なんですよ(笑)」

 記者たちは笑いながら、突っ込んだ。

 「だったらルーキーの彼が大分戦(9月23日)でフル出場して、走行距離13キロオーバー(今季のJリーグ通算第4位)という活躍は、浅野選手のおかげってことに?」

 浅野は即答。

 「まあ、そういうことになりますね」

 この言葉は当然、土肥にぶつける。

 「あー、ユウヤくんが、そんなことを言ってましたか。あとで、はたいておきます(笑)。あの人はマジで、アホなんで」

 爆笑。

 「でも、確かにユウヤくんは、僕のお兄ちゃんなんですよ」

 念のために言っておくが、浅野と土肥の間には血縁関係はない。兄弟のように仲がいい、というだけ。ただ2人は今や、チームのムードメーカー。冗談を言い合って、周りを笑いに包んでくれる。特に土肥の無邪気な振る舞いは、過密日程下のチームにあって一服の清涼剤だ。

 もちろん、彼の魅力は明るさだけではなく、プレーの質が高いこと。城福浩監督は言う。

 「彼のボールを収める技術や運動量は信頼しています。パスを受けることを怖がらないし、仕掛けることもできる。パスして動いて、チャンスにも絡めるんです」

 ただ、大分戦では前述したようにフルタイム出場・13キロオーバーという運動量も見せたものの、彼のクオリティーをしっかりと見せられたとは言い難い。土肥も90分間出場できたことは手応えと捉えているが、プレーそのものは満足していない。

 「ボールにあまり触れていない。もっとパスを受けて、自分の得意な左足でチャンスをつくっていきたいです」

 リーグ再開した7月は、紅白戦にも参加できなかったルーキーだが、今や指揮官が大きな期待を寄せる希望。

 「ゴールを決めたい。決めたらユウヤくんをはたきにいきます」

 いやあ、本当に仲がいいんだなあ。

(紫熊倶楽部・中野和也)

 ◆土肥航大(どひ・こうだい)2001年4月13日生まれ。大阪府堺市出身。ポジションはMF。背番号26。180センチ、67キロ。並木学院高出身。広島ユース在籍の19年に2種登録選手としてトップチームに帯同。同年9月に広島とプロ契約を結んだ。今年9月5日の札幌戦でJリーグ初出場を果たし、同23日の大分戦で初先発。代表歴はU-18日本代表。

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