J1広島・MF東俊希 シャドーで輝く19歳レフティー

 金髪だった髪の色を少し暗くした。「あれは金色ではなく、ただ染めた髪の色が落ちただけなんです」19歳のレフティ、J1広島のMF東俊希は笑顔で説明する。7月4日のシーズン再開を控え、決意を込めて髪の色を変えたのか、それとも気分の問題か。東俊希はほほ笑みを浮かべながら「とにかく、この髪の色で再開に臨みます」と語った。

 2018年の天皇杯・名古屋戦、高校3年生で公式戦デビューを果たすと、昨年はACLと天皇杯でゴールを決め、Jリーグでも11試合出場。今季開幕戦の鹿島戦(2月23日)でも途中出場し、森島司のゴールを演出した。繊細かつパワフルな左足を持つ東に対する期待は大きい。

 6月20日に行われた岡山戦とのトレーニングマッチでも、彼の力はいかんなく発揮された。一発のトラップでDFの間を突き抜け、左足を振り抜いてゴール。右サイドからのクロスをボレーで叩き込んで追加点。主力組も苦しんだ岡山の組織的な守備を破壊してチームの勝利に貢献したのだ。

 もともとはワイドのプレーヤー。昨年のU-20W杯でも左ワイドで出場しているが、広島での主戦場はシャドーストライカーと呼ばれる1・5列目。精度の高いパスやクロスだけでなく得点も狙える東の能力は、この位置でこそ輝く。彼自身も「今はシャドーでのプレーしか考えていない」と意気込む。

 「守備のスイッチを入れる意識も高く、連続した動きもいい。何よりゴール前では特別なモノを持っている」

 城福浩監督の評価も高い彼には、もちろん先発での活躍も期待されているが、一方で「攻撃の切り札」としての役割も担う。2015年に途中出場だけで8得点を記録、優勝に大きく貢献して日本代表に駆け上がった浅野拓磨(現パルチザン)のような活躍ができれば、東の夢である海外進出も近づく。

 「左足でゴールを決めたいね」。そう投げかけるとレフティは笑った。

 「ヘディングも僕、強いんで。どこで決めてもゴールはゴール」

 闘志に満ちた19歳だ。(紫熊倶楽部・中野和也)

 ◆東俊希(ひがし・しゅんき)2000年7月28日生まれ。愛媛県大洲市出身。ポジションはMF。身長180センチ、体重69キロ。背番号24。広島ユースに在籍していた18年にトップチームに2種登録され、同年8月の天皇杯・名古屋戦で公式戦デビュー。同年9月にプロ契約。代表歴はU-15から毎年、世代別代表に選ばれている。

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