広島・池田フィジカルコーチ 「目指すサッカー」のため…継続的に学ぶ

 サンフレッチェ広島のトレーニングで特徴的なのは「ケツトレ」の存在だ。相撲の股割りのような体勢で腰を落としたまま、前に歩き、後ろに歩く。やってみればわかるが、股関節をはじめとする下半身に相当な負担がかかる。

 「この運動は、低い姿勢から身体を立て直して次の運動に向かうことを想定して、デザインしたものなんです」

 池田誠剛フィジカルコーチにこのトレーニングの目的を聞いたのは、彼が就任した2年前のこと。確かにサッカーの場合、そういう運動が多い。なるほどと、納得できたような気がした。しかし、彼が構築するフィジカルトレーニングをずっと見ていて、その「納得」が浅はかだったことを今は実感する。

 池田コーチがよく言うのは「監督が表現したいサッカーを実現させる」という趣旨。例えばパトリック(現G大阪)のパワーを全面的に押し出した2018年のサッカーと、ボールを支配しコンビネーションで崩すことを目的としたサッカーでは、トレーニングのアプローチも違う。実際、後者を目的とした昨年は池田コーチの練習メニューもボールを使ったものが増えた。

 ケツトレは肉体のベースづくりのためのほんの一環であり、1~2分くらいのショートメニューに過ぎない。練習とは「これをやればいい」とメニュー単体で効果を期待するものではなく、トータルで考えるべきものなのだ。あくまで「目指すサッカー」のために。

 新型コロナウイルスのためにJリーグは過去に例のない中断期を迎えている。選手のコンディショニングも司どる池田コーチにとっても経験のない事態だが、焦りはない。

 「様々な意味で自分の成長につなげないといけない。選手は一生懸命にやってくれているし、それに応えないとね」

 最近は書きためていたノートを見返すことが多くなったという。学びを継続させる重要性を知っているからこそ、横浜Mでも韓国五輪代表でも広島でも、池田誠剛は結果を残してきたのである。(紫熊倶楽部・中野和也)

 ◆池田 誠剛(いけだ・せいごう) 1960年12月16日生まれ。埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。早大卒業後、古河電工でプレー。91年の引退後は指導者となり、市原(現千葉)などJクラブでフィジカルコーチを務める。13年に韓国代表のフィジカルコーチに就任。その後も香港代表など国内外のチームで指導し、18年から広島のフィジカルコーチを務めている。

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