U-17女子監督辞任、サッカー協会は事実認定以前に監督交代方針固めていた

 日本サッカー協会が1日、U-17日本女子代表監督の楠瀬直木氏の辞任を発表した。理由は協会の女性職員への「不適切な行為」で、2度の身体的接触があったことを認めている。協会内部では、同代表が出場するU-17女子W杯ウルグアイ大会(11月13日~12月1日)の監督を任せることはできないという方針でまとまっていたという。

 まず3点、前提となるのは「ハグ」だけが理由ではない点、協会は「事件性のある性的な行為では決してなかった」(須原専務理事)と認識している点、そして選手に対してのハラスメント行為はなかったと協会が認識している点だ。1点目については、「ハグ」があったのが昨年6月で、「お疲れ様」の意味を込めたと楠瀬氏はヒアリングで説明したという。そして、1年3カ月後の今年9月に「不必要な身体的接触」があったため、女性が上司にメールで相談し、事態が明らかになった。

 その後、協会は弁護士を交えて楠瀬監督と女性職員の両者から複数回のヒアリングを行った。事実認定の面で、意見の相違があったことも協会は認めている。また、担当した弁護士から「完全に断じることはできない」が「不適切」な行為だったという、現時点での考えを協会側は聞いていた。

 ただ、こうした事実認定的なこと以前に、田嶋会長は「まずウルグアイ(U-17女子W杯)で指揮を執らない決定は、ことの内容が白か黒かとかセクハラかという以前の段階で決めたということです」と振り返った。協会内で女子チームを管轄する女子委員会は、10月30日までに楠瀬氏に指揮を執らせないという結論を出し、代行に就任した池田太氏をU-17W杯の登録メンバーに含めておくなどの準備を進めていた。

 協会としては前述の弁護士の意見の通り、断定的な結論を出し切れない事態が続いていたという。いずれにせよ11月1日からU-17日本女子代表チームは大会前の合宿に入っており、この日までに結論を出す必要があった。田嶋会長も「11月1日から(合宿が)始まるという期限がなかったら、もっと時間がかかったかもしれない」と語っている。こうした流れの中で楠瀬氏が10月31日付けでの辞任を申し出たため、これを受理する形での辞任劇となった。

 なお、世界的に見ても、またサッカー界を見ても、挨拶としてのハグは珍しい行為ではない。しかし、田嶋会長は「そこはその方がどう感じるかという状況で、いろんなことがあってのことですから、僕の基準で決めることではないと思いました」とした。

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