Ｊ１ＦＣ東京は沖縄・国頭キャンプ６日目の２２日、かいぎんフィールド国頭で九州リーグの海邦銀行ＳＣと今季初の練習試合（３０分×３本）を行い、１０－０で圧勝した。新加入のＦＷ大久保嘉人（３４）が移籍後初の実戦でいきなりハットトリックを達成。Ｊ１最多１７１得点を誇るストライカーが脅威の決定率で満点デビューを飾った。

　東京の新エースは周囲の期待に、あいさつ代わりのハットトリックで応えた。チーム合流８日目で、連係の構築はまだまだこれからの段階。それでも選手の癖や、パスの球質もお構いなし。次々とゴールネットを揺らし続けた。

　「みんな意識して見てくれているので、ボールは出てくる。どんなボールでも合わせるのはこっちの仕事なので」

　１本目の開始４分、左サイド深くからＦＷ永井がボールを上げると、それを頭で合わせて１点目。１２分には、ＤＦ太田の左サイドからのクロスを頭で合わせ、２２分には右サイドを崩したＤＦ室屋の折り返しを右足で流し込んだ。

　出場３０分で、放ったシュートはこの３本のみ。それを全て得点へと変えた。高い決定力にも、本人は涼しい顔だ。

　「東京はサイドにいい選手が多い。いいクロスが来ると、信じて駆け引きができる。サイドからの得点？今年は増えるんじゃないのかな」

　疲労もピークを迎えつつあるが、この日は得点だけでなく、前線からの激しい守備や、素早い攻守の切り替えも体現してみせた。

　「ここ数年、素走り（走り込み）はしてこなかったので、体はかなりヤバイです。でも、そういう練習をこの年になってやると、もう一回強くなろうと思える」。充実感がにじむその表情に、今年で３５歳を迎える練達の点取り屋を突き動かす理由が存在した。