中谷潤人 世界3階級制覇 進化止まらん“ネクスト・モンスター”強烈左でダウン&ラッシュ

 「ボクシング・WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(24日、両国国技館)

 WBC世界バンタム級タイトルマッチは同級1位の中谷潤人(26)=M・T=が、王者アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に6回TKO勝ちし、無敗で3階級制覇を達成した。WBO世界スーパーフライ級王座決定戦で同級1位の田中恒成(28)=畑中=は同2位のクリスチャン・バカセグア(メキシコ)に3-0で判定勝ちし、4階級制覇を果たした。21戦目での達成は元世界6階級制覇のオスカー・デラホーヤ(米国)の24戦目を抜く世界最速。WBA世界バンタム級タイトルマッチは王者の井上拓真(28)=大橋=が同級9位のジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に9回KO勝ちし、初防衛に成功した。

 中谷が次世代の怪物たる力を発揮した。王者を破壊力満点の拳でマットに沈め、井上尚弥、田中恒成に次ぐ日本勢3人目の無敗で世界3階級制覇を達成。クールな新王者が感情を爆発させ「バンタム級での将来を期待してもらえますか?」と大観衆に呼びかけた。

 “二つの引き出し”を使って完封勝利を収めた。一つは自身の距離を保ち続けたこと。序盤から小柄な相手をふところに入れず、優位に進めた。二つ目は試合が動いた6回に発揮。「(トレーナーの)ルディに言われてテンポを変えた」とギアが入った。ワンツーがロープ際でさく裂。鋭い左ストレートを顔面に突き刺してダウンを奪うと、立ち上がった後も手を緩めず試合を決めた。

 11年前の両国で見た“神の左”は脳裏に焼き付いている。2013年4月に山中慎介のWBCバンタム級防衛戦を現地で観戦した。「その舞台に挑戦できるのは、すごいロマンがある」。同じ左の拳を武器とする26歳が、山中をほうふつとさせる快勝劇を演じた。

 戦前から「ターニングポイント」と位置づけた一戦をKO勝利で飾り、次なる目標は統一戦や、全階級を通じたランキングのパウンド・フォー・パウンド入り。そして、リングで独自の色を表現していくこと。井上尚弥に続く『ネクスト・モンスター』は「人それぞれ違う色があって、見ていて楽しいと思えるのがプロボクサー。また違う中谷潤人を見てほしい」と、世界に“ナカタニ”の名をとどろかせる。

 ◆中谷潤人(なかたに・じゅんと)1998年1月2日、三重県東員町出身。アマチュア戦績16戦14勝2敗。2015年4月にプロデビュー。19年に日本フライ級王座、20年にWBO世界フライ級王座、23年にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得。WBO世界スーパーフライ級王座を獲得したアンドリュー・モロニー(オーストラリア)戦は米国で最も権威ある専門誌ザ・リングの年間最優秀KO賞に選出された。身長172センチ、リーチ170センチ。左ボクサーファイター。

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