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ボクシング元女子世界王者の野上奈々が長男出産 夫も新型コロナ感染で死闘

 ボクシング元女子世界王者の野上奈々(リングネーム好川菜々、42)が3日に大阪の病院で第1子となる長男を出産した。3220グラムで母子ともに健康。4日、「念願の長男を出産することが出来て安どの気持ちです。初めて見た息子の姿は何ものにも代えられない愛(いと)おしさでした」と喜びをあふれさせた。

 さらに、ママは強し。「これからですが、私は息子にボクシングをやらせます!UJ(アンダージュニア=中学生以下)大会で優勝させられたら、主人の力を借りてアメリカもしくはメキシコのプロモーションに預けます!そして世界で初めての父・母・子でチャンピオンベルト獲得を目指します。頭の中は夢でいっぱいです」と、早や“英才教育”を宣言した。

 2016年にWBO世界フライ級、2017年にWBC世界暫定同級王座を獲得。夫は元WBOアジア太平洋スーパーフェザー級王者の野上真司氏(46)で日本史上初のチャンピオン夫婦。2018年に大阪府堺市内に夫婦でディアマンテボクシングジムを設立し、奈々さんが会長を務める。

 世界を相手に戦い抜き、奇跡を起こしてきた夫婦。本当に何度もあきらめかけながら誕生した命だった。野上氏は「奈々と子供がミラクルを起こしてくれた」と感激した。

 2019年年末に1度は妊娠が判明したが出産には至らなかった。その後、不妊治療を続けたが、「着床してもホルモン値が上がらず育たない」など厳しい状況だった。

 昨年7月、着床が判明した際も医者から「ホルモン値が通常の千分の一。もう無理です」と通告。奈々さんは「もうあきらめる」とタオルを投げかけた。

 ショックでふさぎ込む妻を勇気付けるのは現役時からトレーナーで支えた野上氏の役目。ある時、捨て猫を拾った。「猫はごろごろってのどを鳴らす。それが母性本能を高めることになるんじゃないか。何の根拠もなかったんですが」とわらをもつかむ思いで自宅で育てることになった。

 その“猫効果”なのか?ホルモン値が上昇。医者も「科学的には説明できない」と驚いた程、胎児はすくすく成長した。3日、「出産のリング」(野上氏)に向かい、元気な子が産声を上げた。

 待望の愛息は禮世(いなせ)と命名された。野上氏は「日本人らしい粋でいなせな人になってくれたらと。世の中を豊かにするように」と思いを込めた。

 実は妻子とともに野上氏も戦っていた。臨月も近い4月中旬、大阪で猛威を振るう新型コロナウイルスに感染し、生死の境をさまよっていた。

 奈々さんに感染させるわけにもいかず、自宅を出て、閉鎖されていたジムに1人で泊まり込み。そこからが死闘だった。最高で39度7分、39度台後半の高熱が4日間、続いた。嘔吐(おうと)を繰り返し、トイレに倒れ込んだ。

 救急隊を呼んだが、熱を計り、症状を確認しただけ。現状、大阪の医療現場は深刻で受け入れ先がない。「本当にすいません!もし何かあったらまた連絡下さい。野上さん頑張って下さいね!本当にすいませんって言いながら帰っていくんですよ…」と、入院もさせてもらえず、そのまま置いていかれた。

 4月26日、ようやくホテルに担ぎ込まれ隔離措置された。そこでも治療らしい治療はなく、オンラインで医師と問診を受ける程度。38度を越える高熱がようやく下がり始め、九死に一生を得た。

 「嘔吐を繰り返して逆流性食道炎を併発しトイレに倒れ込んで半日以上も立ち上がれなくなり、脱力感と高熱の寒さ、嘔吐の苦しみはこの世のものとは思えない壮絶な日々でした。コロナはインフルエンザとか風邪とかとは全く違います。ぜんそくなら息が吸えて、ぜえぜえってなるけど、コロナはせきしても息が吸えないんですよ」と恐怖、苦しみを自ら経験した。

 5月2日にホテルを出て自宅に戻った後も全身が弱っており、カップ麺のきつねうどんを2日かけて食べた。「まだ肺が息苦しかったり、体が痺(しび)れたり、頭が回らなくなったりと後遺症があり、100%の状態に戻っていない。よく無事に帰ってこられたなぁと日々涙が止まらなくなる時があります」と苦しみを明かした。

 地獄から生還しただけに、新たな命の誕生に感謝しかない。「奈々には大変な時にだんなのことまで心配させてしまった。ボクシングの時から絶対にあきらめなかった。子供もよく頑張ってくれた。強い子になりますよ」と、妻子の頑張りに父は感激した。

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