【長谷川穂積の拳心論】体格差の中でジリジリと相手の体力奪った井岡

 「ボクシング・WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(31日、大田区総合体育館)

 WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(30)=Reason大貴=は世界4階級制覇後の初防衛戦で同級1位ジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)に3-0で判定勝ちした。井岡は序盤、距離を取れずに苦戦したが、中盤以降はペースをつかみ圧倒した。

  ◇  ◇

 サウスポーのシントロン選手とオーソドックスの井岡選手の戦いは、王者のボディーと挑戦者のアッパーのせめぎ合いだった。シントロン選手は長いリーチで右ジャブをうまく使い、身長でもリーチでも下回る井岡選手は、ボディー攻撃からプレスをかけて接近戦を狙った。4回には王者のいいボディーが入り、徐々にペースを奪った。

 ボディーを狙えば自分のガードは下がる。しかも相手は両アッパーを多用してくるだけに、恐怖心が生まれる。それでも、粘り強くボディーから上へとパンチを打ち続けることで、ジリジリと後半にかけて相手の体力を奪った王者はさすがだった。

 判定は文句なしだったが、試合後の顔を見ればわかるように、多くの被弾があり楽な試合ではなかった。裏を返せば、これしか攻撃の糸口がなかったとも言える。4階級を制覇した時にも感じたが、スーパーフライ級という階級は、井岡選手より大きな選手が多く、階級の壁を感じるだろう。これからこの階級で自分の戦い方をどうフィットさせていくかが重要になると思う。

 それでも、ここで勝ち切れたことはさすがだった。これからさらに強い相手と戦うなら、今後のためにもなるべくダメージの少ない試合をして、長くボクシングを続けてほしいと思う。

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