村田諒太、初めて「完全に負けた」 ブラントに大差判定負け…王座陥落

 両目の周りが赤く腫れた顔で取材に応じる村田
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 「ボクシング・WBA世界ミドル級タイトルマッチ」(20日、ラスベガス)

 王者の村田諒太(32)=帝拳=は挑戦者ロブ・ブラント(28)=米国=に0-3(110-118、109-119が2者)の大差判定で敗れ、2度目の防衛に失敗した。村田はスピードと手数で上回る相手を捕らえきれず、得意のワンツーも散発に終わっての完敗。今後については「次という気持ちにはなれない」と話したが、村田と契約している米大手プロモーター、トップランク社のボブ・アラムCEO(86)は来年3月か4月に日本で再戦させる意向を明かした。

 夢の舞台をハッピーエンドでは飾れなかった。新王者誕生が告げられると、ぼう然としながら手をたたいた村田。「完全に負けたと思っていたんで」と、潔く指名挑戦者のブラントをたたえた。

 「速かった。よく動くし、(運動量が)落ちなかった」と話すように、相手の動きは予想以上だった。ガードを固めてプレッシャーをかけ、ワンツーを打ち込む得意の攻めは空回り。初回から速射砲のようなジャブに出はなをくじかれ、プレッシャーは俊敏なフットワークにいなされた。

 チャンスはあった。距離感をつかんだかに見えた5回にワンツーがヒット。そこから左ボディーも交えた連打を繰り出すも、捕らえきれず。その後は逆に村田の攻めを見切ったブラントの多彩なパンチとスピードに最後まで攻勢にさらされた。

 不可解な判定で初黒星を喫した17年5月のアッサン・エンダム(フランス)戦とは違う完敗。顔の大部分が赤く腫れた村田は「あ、負けたな、という感じ。(5回の)倒せるチャンスで倒せなかったのがすべて。右も読まれていた。よく研究されたという感じ。自分もワンツーからボディーしか打てない選手だし、自分のボクシングの幅のなさを痛感した」と唇をかんだ。

 聖地3戦目にして初の世界戦でメインイベント。それは少年時代に憧れた人気者の元3階級制覇王者フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)が暴れ回った夢の舞台でもあった。そこで送られた挑戦者を上回る声援。「多くの日本人の方が来てくれたので、すごくうれしかった」と喜びをかみしめた。

 村田をプロモートするボブ・アラム氏は、勝てば対戦を熱望していた元ミドル級3団体統一世界王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と交渉を始めると話していたが、この敗北で霧消。だが、アラム氏はこの結果を受けて来春に日本でブラントと再戦させる考えを示した。

 「負けて、はい、じゃあ次、という気持ちにはなれない」という村田は、アラム氏の考えに「再戦を要求するような内容じゃなかった。ボクの都合でものを言えることじゃない」と話すのみ。今後については「そんなすぐに答えが出ることじゃないと思います」と、しばらく休んで考えるつもりだ。

 世界的に層が厚いミドル級で金メダリスト、世界王者となって、聖地で防衛戦。どの日本人もなし得なかった夢を実現し続けた男は、夢の続きを見せてくれるのだろうか。

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