京口紘人、最終ラウンド開始前に尊敬の抱擁 2度目の防衛成功

ビンス・パラスを判定で下し防衛を果たした京口紘人=大田区総合体育館(撮影・棚橋慶太)
3枚

 「ボクシング・IBF世界ミニマム級タイトルマッチ」(20日、大田区総合体育館)

 王者の京口紘人(24)=ワタナベ=が3-0の判定で挑戦者の同級10位ビンス・パラス(19)を下し、2度目の防衛に成功した。戦績は京口が10勝(7KO)、パラスが13勝(11KO)1敗。

 無敗対決を制した京口は大きな教訓も得た。3回に右フックの打ち終わりを狙われ、挑戦者の左フックを側頭部に被弾。尻餅をつきアマチュア時代も通じて人生初というダウンを喫した王者は「試合前は『ボクシングを教えてあげたい』とか言っていたけど、ハードパンチャーに不用意なパンチをもらうことは一番ダメだと教えてもらいました」と苦笑いで試合を振り返った。

 減量苦の影響もあり、8、9回あたりから「ピリピリとつりそうな前兆があった」と太ももが悲鳴を上げた。それでも試合を通じて主導権は譲らず、10回には「相手が弱気な顔になった」と連打でダウン寸前まで追い込み、判定ではジャッジ3者が全て117-110と7点差をつける圧勝だった。

 最終12回の開始前、通例ではグローブを合わせるだけだが、両者がリング中央で抱擁を交わすという珍しい光景があった。京口は「『ありがとうなー』という、今までの相手とは違った弟分みたいな感情があった」と説明した。

 挑戦者のパラスは才気溢れる19歳で、圧倒的なスタミナと強打を持ち合わせる一方で、リング外では笑みを絶やさない素朴で謙虚な青年でもあった。京口は「すごくいいファイターで、尊敬の気持ちを持ちながら試合をした。いい時間でしたね。ハングリーでベルトを取りに来ている気迫を感じた。終わってからもすごく悔しがっていた。19歳が日本まで来て簡単に経験できることではない。すごく尊敬できる。もっと上に立てる選手だと思う」と挑戦者を称え、所属ジムの渡辺会長も「強かった。近い将来世界を取るでしょう。パンチもあるし、いい選手」と賛辞を惜しまなかった。王座奪取には失敗したが、若き挑戦者は鮮烈な印象を残し、爽やかにリングを下りた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ファイト最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(ファイト)

    写真

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス