世界王者・拳四朗 ボートよりボクシング
ガールズケイリン選手からプロボクサーに異例の転向を果たした島野りーみん(35)=TEAM 10 COUNT=が7月29日、デビュー戦を1回TKO勝利で飾った。競輪からボクサー転向は初めてのケース。一方、ボートレーサーを目指しながら世界チャンピオンになったのが今をときめく拳四朗(25)=BMB=だ。公営競技とボクシングの関係に注目した。
拳四朗は5月20日、東京・有明コロシアムで10勝無敗のまま世界王座を獲得した。高校、大学とアマエリートで鳴らした拳だが、元々目指していたのはボートレーサーだったと父親でジム会長の寺地永氏が講演会などで明かしている。
「私のおいがボートレーサーをやっていて、一家で彼のレースを見に行きました。ボートに乗せてもらえるというイベントがあって、拳四朗がクジで当たって乗せてもらった。それでボクシングよりボートレースに興味を持った」のが始まりだ。
永氏も乗り気だった。「元々ボクシングは高校受験(の推薦)のためにやらせたもの。どちらかというとボートで頑張ってほしかった」と振り返った。競技生命が長く収入も多いのが魅力的で、高校、大学時に試験を受けたが不合格に終わった。
アマエリートの拳がプロ入りしたのもボートありきだった。永氏は「ボートレースの試験にスポーツ推薦がある(※)のを知った。プロボクサーも日本ランク上位であれば、推薦枠がもらえると聞いて、これだと」決断。
「拳四朗もボートレースの試験に受かるためにプロボクサーになろう、という安易な考えでした。取りあえずプロの道に歩ませたが、世界チャンピオンになるとは思っていなかった」と言うから驚くしかない。
拳に改めて聞いた。まだ、ボートレーサーになりたい気持ちはあるの?「いや、全然。ボクシングやっていて良かったと思っています。今、試験を受けたら受かる自信はあるけど受けないですよ」とニッコリ笑った。
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※ボートレーサー特別試験 モーターボート、モーターサイクルで優秀な成績を残した者。スキー、スノーボード、体操競技の五輪、世界大会日本代表。ボクシングでは日本ランキング5位以内の者は、受験内容を大幅に免除される。