日本プロボクシング協会・渡辺均会長激白!勝負の2年目

 ワタナベボクシングジムの渡辺均会長(67)が、全国のプロボクシングジム会長で組織する「日本プロボクシング協会」の会長に就任して4月で丸1年を迎える。就任1年目はボクシング界を揺さぶった健康管理見舞金(健保金)問題の決着に奔走した。激動の1年目を振り返るとともに、2年目の今年、ボクシング界隆盛へ向けた決意と戦略を聞いた。

  ◇  ◇

 -昨年の大きな成果といえば、長い間JBC(日本ボクシングコミッション)との間でもめていた健康管理見舞金、いわゆる健保金問題を解決したことか。

 渡辺「そうですね。長年引きずってきた問題が解決してホッとした。やったかいがあった」

 -選手がファイトマネーの3%を積み立てて、試合で負傷したときの治療費に充てるのが健保金。この金が裁判費用に流用されたのではないか、という問題。

 渡辺「健保金だけではなくて、JBCの財政全体の問題。その多くが選手たちが支払っていたお金だということです。ボクサーや協会員から集めたお金を無駄遣いしていると腹を立てたんです」

 -一部の協会員はJBCの幹部を横領で刑事告発する準備までしていた。

 渡辺「裁判で使ったことが適切かどうかはともかく、健保金、という独立した財布から横領したという事実は認めづらいですね。不正はしていない。これは、すべての協会員に納得してもらっています」

 -昨年12月の和解会見では、JBCとの間に認識のずれや説明不足があったという説明だった。

 渡辺「裁判費用で使ってしまったのは確かですけど、それを言っても返って来ない。健保金問題としてはひとまず決着して、違う問題意識を持っていただいた。次のステージに入ろうということですね」

 -次のステージというと。

 渡辺「JBCを責めるのではなく、よくするということです。JBCの理事はこれまで協会長1人だけでしたが、これを2人増員するので協会も口を出せるようになる。例えば、今後裁判で無駄な出費をすることのないように意見できる。ともに財政をしっかりしていこうというステージです。そうできたのは渡辺としてはよかったと思う」

 -今後は。

 渡辺「数年にわたっていろいろありましたけど、今後はわだかまりを捨てて両輪として財務再建に取り組み、ボクシング界を盛り上げていきたい」

 -共同声明がまだ公表されていない。

 渡辺「近いうちに公表できると思います」

  ◇  ◇

 新協会長が取り組みを約束した10のテーマがある。協会内部に関するものが多いが、ファンが気になるのは試合に関するものだ。

 -今年、実現しようとするプランは。

 渡辺「協会のプライベートタイトルですが、日本ユースタイトルをつくります。ボクシングのいいところは権威の高さですが、日本王座までの道筋が長くて1敗、2敗して辞めてしまう選手もいる。その前にこういうタイトルもあるというステップですね」

 -出場資格は。

 渡辺「24歳未満のA級ボクサーです」

 -新タイトル創設となると、反対する声もあったのでは。

 渡辺「ありましたね。4団体になって、ベルトの価値が下がるというマイナス面も多い。ただ、それは時代のすう勢でもある。かっこうよく言えば、マイナス面もあるけどプラス面に変えていかなければならないんです」

 -ユースの他のプランは。

 渡辺「女子の日本タイトルをJBC公認でやろうとしています。日本王座は6回戦、東洋太平洋は8回戦、世界は10回戦という位置づけです。女子委員会とJBCで話し合っています」

 -女子選手は増えているか。

 渡辺「増えてないですね。あと一つ二つ勝てばA級になれるという選手が、なかなか試合を組めないまま辞めてしまったり。タイトルがあれば、A級を取るまで頑張ろうとなるかもしれない」

 -女子にももっと活気が欲しい。

 渡辺「実は女子タイトルの件は5年前にも話があったのですが、協会の理事会で時期尚早、権威が足りないと却下された。時代が変わったんです」

 -すでに進行しているものにWBOアジアパシフィック王座がある。JBC未公認ながら国内開催が認められた。1月31日にワタナベジムの荒川仁人選手がライト級王座を獲得したが、相手の選手はランキング13位だった。

 渡辺「これは早急にしっかりしなければいけないのですが、日本も東洋太平洋も王座決定戦は1位と2位で決めるんです。できない場合、3位、4位と下がっていく。今のWBOアジアは下のクラスだったり、ノーランカーとやらせたりしている」

 -日本人王者が6人いるだけに残念。

 渡辺「何とかコントロールして、4月をめどには正式承認してもらいたいと考えています」

 -協会主催のスパーリング大会、準公式戦も始まる。

 渡辺「『1st BOX(ファーストボックス)』と名称も決まりました。プロを目指す人にはステップとして。そうでない人は草野球、草サッカーのように楽しんでもらえるよう安全面に配慮した大会です」

 -これまでのスパーリング大会との違いは。

 渡辺「勝敗を決めて、何勝したらプロテスト免除とかになればよいと思う。審判の育成もしていきたい」

 -本番は。

 渡辺「去年からプレ大会を何回か開催していて、今年の4月には本格的にスタートします」

 -あの手この手と手数が多く楽しみ。

 渡辺「期待していてください」

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ファイト最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(ファイト)

    写真

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス