小山氏×安仁屋氏(4)下柳が証明した投げ込みの重要性

 現役通算320勝を誇る“虎のレジェンド”小山正明氏(83)と、現役時代に小山氏に師事した広島OB会長・安仁屋宗八氏(73)が西宮市内で緊急対談、虎と鯉を巡るあれこれを語り尽くした。第4回は、2003、05年の阪神リーグ優勝に貢献した下柳剛氏の“強肩”を引き合いに出し、投げ込みの重要性に言及した。

  ◇  ◇

 小山「僕が根本(陸夫)さんにダイエーに呼ばれた1994年やったかな。2軍から『球威はあるけどコントロールが今一つの投手がいる』という報告があって、根本さんが『それを1軍に呼べ!!』となった。のちに日本ハム、阪神へと移る下柳や」

 安仁屋「彼もよく投げたらしいですね」

 小山「投げた、ちゅうもんやない(笑)。試合前の打撃練習で『最後まで投げろ!!』と命じられて投げ、それが終わったら今度はブルペンでまた投げる。根本さんに『大丈夫ですか?』と聞いたら『お前、黙っとれ!』とこうや」

 安仁屋「根本さんにそう言われると黙らざるを得ない(苦笑)」

 小山「オリックス戦で神戸に来た時、宿舎出発の2時間前に根本さんが下柳1人を連れて球場に行くわけよ。僕らが着いてブルペンを見ると、根本さんが下柳を投げさせてた。ホームの練習が終わり、ダイエーの打撃練習が始まると今度はフリー打撃に登板や」

 安仁屋「僕と外木場がそれでした。今じゃ笑い話ですが、当時はそんな破天荒なことが普通にあったんですよね」

 小山「それが強い安仁屋を作り、強い下柳を作ったんだよ」

 安仁屋「今の選手にも同じようにというのは無理でしょう」

 小山「そうかもしれんが、昔の人がやってきたことを原点に戻って考えてみるのも必要と違うかな。阪神のルーキー・高橋遥が肩があまり強くないと聞くけど、ならば強い肩を作らないといかん」

 安仁屋「僕らは投げて強い肩を作るという考え方ですが、今は『壊したらいけない』という考えが優先する。特にトレーナーを中心に、ですね」

 小山「『やらせ過ぎたら壊れる』という論やろうが、壊さないためにやらせるという考え方もある。ある球団でコーチをした時、別のコーチがそんなことを言うから『それは違うぞ』と怒ったことがあった。そのコーチは練習嫌いで有名だった(苦笑)」

 安仁屋「我々の頃の常識が今では非常識になっていることが多い気がしますね」

(第5回につづく)

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