阪神・岩貞、格闘家・奥田啓介から学ぶ「大物食い」の極意
阪神の岩貞祐太投手(26)が、格闘家の奥田啓介選手(26)と対談した。15年12月、17年1月に続き、3度目となった同学年同士の仲良しダイアログ。終了後には、岩貞からユニホームがプレゼントされるなど、終始和やかな雰囲気で行われた。弱い己との向き合い方について、互いに助言を求め合うことからスタートした2018年。ライバル・広島にリベンジを-。その思いは、さらに熱を帯びていく。
(岩貞からの質問で、1年ぶり3度目の対談がスタート)
岩貞(以下岩)「今日、聞こうと思っていたのが精神的なところで。(僕は)内気になるというか…調子がよくないと大丈夫かなと不安な気持ちになる。大ケガした後の試合は、どういう気持ちで上がれるのか」
奥田(以下奥)「(昨年は)2月にケガをして、4月に復帰したんですけど。青木真也という選手と試合したんですけど、こいつを食ったらいいやろと。大物食いしたろという気持ちでやりました」
-岩貞にはなかった「大物食い」と言えるほどの心の強さ。強き者に立ち向かい、そこで力を発揮するすべを知らなかった。
岩「そういうところを見習わないと。去年やっていて、やられた次の試合でも、同じようなシチュエーションになった時に、この前はこれだったから、あれだけは避けたいなとか思っている時点で、そっち(弱い方)に流れている」
奥「最後はやるしかないやろ…みたいな。試合の前は本当に、どうしよう、どうしようという気持ちがある。でも僕は、これが終わったら買い物に行こうみたいな、楽しいことを考えて、さっさと終わらせたろという気持ちでやっている」
-5勝10敗に終わった、昨季を振り返る。
岩「ボールが走らなくて、力んでしまって、フォームが乱れて、制球が定まらない。5月、6月くらいに2勝4敗くらいで、負けが先行してきて…。イニングも7回くらい投げていたのが、3回、4回とか早めにKOされることが2、3度続いた時に、そこから焦りしかなかった」
-陽と陰の2年。自らが考える分析とは。
岩「イメージだけでいけていた2016年と、現実を知って用心していってしまっているところがあった去年。その差で、成績がガラッと変わったかなと思う。(足りないのは)自信ですよね。自信しかないと思います」
-メンタルトレーニングを上回った、弱さとは。
岩「メンタルトレは一昨年からやっていて、一昨年はそれに助けられた部分があった。それこそ自分に言い聞かせるというか、素直に言い聞かせられた部分があったんですけど、去年はそれ以上に不安が上回ったというか」
(弱い己を、強い己に変えていきたい岩貞。同じプロのアスリートに、その“秘訣(ひけつ)”を探った)
奥「去年、ラウェイ(・イン・ジャパン2)で惨敗しているので、今年はもう1回振り出しに戻って、全て楽な気持ちでガツンとやろうと。全部投げ出してでもやってやろうという気持ちではいます。何回でもやってやる、10回負けても、11回目で勝ったらいいだろうという気持ちはありますね」
-岩貞にとっての因縁の相手は。
岩「見てもらったら分かるように、カープに1回も勝てていない。何連敗もしている。プロに入ってから1回も勝っていないんですよ。カープをどう倒そうかと思って、ボールを投げる時は広島打線をイメージしながら投げています」
-学んだ熱い気持ち、それは“リベンジ”。
岩「僕らが殴り合いとかしたら違うけど、それくらいの熱い気持ちをマウンドでも出せたら。成績もおのずとついてくるんじゃないかと思う。今年は(そういう気持ちを)出さないといけないので、出しましょう。弱気な投球は1球もしないように誓ってやる。今年はカープに1勝はします。1勝からなので、一歩ずつ。一つ勝てば変わると思うので、とりあえず、カープに一つ勝つ。次の対談では、笑顔で…ね」
-互いの印象と、そして奥田の野望とは。
奥「(岩貞は)すごくコツコツやられている、ちゃんと言ったことを実行している感じ。一昨年初めて対談した時に『これやります、やります』と言っていたことを確実にやる。試合に勝ったりとか、めちゃくちゃかっこいいなと思って。男が、男をかっこいいと言うの、本当だと思うんですよね。プロのアスリートとして憧れというか。一時期、桜庭(和志)さんのセコンドに下柳(剛)さんがいたじゃないですか。だから今年は大みそかのRIZIN(ライジン)に出て、セコンドお願いしようかなと思って」
岩「そんなの見ていられないですよ(笑)。会った時から根性の塊というか、雄(おす)っていう感じがぴったり。一文字で表すなら『雄』。格闘家らしいというか、自分の体一つで飯食っている人なんだなって」
-改めて最後に抱負を。
奥「俺がプロレスラーの強さ見せてやるよという気持ちはあります」
岩「今年はマウンドは自分の場所だという強い気持ちを持って、人に譲らない。最後まで立ち続けるという思いを常に持って、やり抜きたいと思います」