阪神 金本監督×片岡ヘッド新春夢対談【後編】優勝に必要なのはピリッとした緊張感

2018年シーズン、ガッチリと腕を組み合う阪神・金本知憲監督と阪神・片岡篤史コーチ(右)=大阪市内のホテル(撮影・北村雅宏)
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 阪神・金本知憲監督(49)と片岡篤史ヘッド兼打撃コーチ(48)が新春夢対談後編をお届けする。現役時代から信頼を寄せ合う2人が、監督とヘッドコーチとしてタッグを組んで臨む2018年シーズンに思いをはせた。

 -気持ちの部分で優勝へ持っていくことも可能?

 金本監督(以下金本)「2003年は本当にみんなが必死になって、ピリッとしてね。前向きに勝利に対してどん欲にという姿勢があれば勝てると思いますよ。その中で選手は競争しながら。競争する中での緊張感もあると思うし、選手はピリッとしながらね。硬くなる緊張感、ノビノビとプレーできなくなる緊張感ではなくてね。いい意味でのピリッとした緊張感を僕は選手に求めていきたいし、作っていきたい」

 -金本監督は広島時代、片岡ヘッドは日本ハム時代の猛練習で一流への階段を上った。練習は野球選手にとって一番、重要か。

 金本「そうですね。僕はよく受験生という例えをするんですけど、子供ってやっぱり遊びたいし、楽をしたいし、頑張る頑張ると言いつつも、なかなか親が何も言わなくても、ごりごりやる子供はほんと10%くらいしかいない。大して何もやらなくても投打いける子もいるけど、それは天才。残りの9割はある程度、導いて、こちらがメニューを作ってあげてやらせないと、ついつい甘えてしまう。実際に僕がそうでしたから」

 (続けて)

 「僕は途中からそれじゃいけないなというのが分かって、家にネット張ったりとか、スイングしたりとか、トレーニングを続けたり。自分と同じ感覚をね、みんな一緒じゃないけど、これだけやらないといけないよというのを最初に教えてあげないと。僕はダメだと思います」

 片岡ヘッド兼打撃コーチ(以下片岡)「監督とこうやって2年間、コーチという立場でやらせてもらってね。やっぱり現役時代とは違うことを監督からお聞きして、現役時代に分からなかった努力の仕方っていうのが新しい発見としてあった。やっぱりここまで努力したから監督はここまでの成績を残せたんだということを改めて僕らは分かった。現役時代を一緒にやらせてもらって、前回(10~12年)はコーチと選手という間柄でしたけど、もっとその奥にあるいろんなことを(選手に)伝えたいと思ってます。ただやっぱり監督が言われたように、ある程度の方向性を示して、道を教えてあげて、努力させることはすごく大事なんだと、この2年間で感じています」

 -秋季キャンプ中には2人で話すシーンがよく見られた。

 金本「いろんな話してるよね」

 片岡「そうです」

 金本「この選手はもっとこうした方がいいんじゃないかなとか、もっと逆方向へ打たそうかとか、だいぶスイング強くなったなとか。もうちょっと辛抱強く振る強さ、速さを求めていこうかとか」

 片岡「でもそれはシーズン中からずっとですよ。監督にどうですかねとか、どういう方向でやった方がいいのかとか。やっぱり段階というのがあるので、いきなりはなかなか難しい。そこは監督に指示を仰ぎながらやってきた。秋のキャンプだからというのはないですよね」

 -シーズン中に監督が「片岡の助言で…」とよく言っていた。

 金本「言うこと聞いてくれないから(笑)」

 片岡「名前を出していただいて、ありがとうございます(笑)」

 金本「僕も1人で采配をしているわけではないですので。守備なら久慈と相談した上で誰をどこに入れるとか、あと一回、打順が回ってくるけどここは守備に徹しようとか。相手のピッチャー見ながらね。継投にしても香田コーチと相談して、ブルペンに電話してもらって『2連投で球数が多いけどきょうの調子大丈夫か?』と聞いてもらったり。じゃあ今日行って、明日は完全休養にしようとか。常にコーチとは話をしているのでね。1人では無理ですよ、正直。さっきも言ったように、1つの知恵よりは3つ、4つの知恵。一番困るのは意見が4つに分かれる時やね(笑)。そうなるともう僕が腹をくくってやるしかないということになるので」

 -日々の打順で迷うことは?

 金本「僕が迷うときはコーチも絶対、迷ってるから。僕がこういう形で行こうという時は、だいたいコーチも一緒。高代さんが去年、スタメンを持ってきてくれた時には、だいたいの読みも入ってるから。こう書いてるけど、本当は監督はここを変えたいんじゃないかとか。って片岡が言ってたよって(笑)」

 片岡「そらスタメンを決めるときは守りもあって、打撃の調子もあって、相手投手との相性もある。みんな意見を言ってもらって、最後に監督がこう言ったらこのメンバーで行こうというのはみんな分かっているので。そういう意見が出ないと逆にダメですよね。もちろん守備側は守れる選手を使いたいし、こちらは打てる、点を取れるメンバーで組みたい。ただ監督が最後にこう言ったら決めようというのはみんな分かっている」

 -大山を4番に抜てきしたのも片岡ヘッドの進言だった。

 片岡「監督といつも話をしているじゃないですか。監督もやっぱり状態が上がってきているってのを分かっておられるし、このタイミングで言えば監督もきっと『うん』と言ってくれるんじゃないかなと。僕たちもそういう状況を見ながら、監督に『どうですか?』という進言をするんですけどね」

 金本「コーチがやっぱり腹をくくってドーンとくるから。僕も腹をくくらないと(笑)。僕がビビっていたらどうしようもない」

 -そういう風通しの良さが今の首脳陣にはある。

 金本「大事ですよ」

 -就任3年目、改めて理想のチーム像は?

 金本「何回も言いますけど、鳥谷が2003年のドラフトでしょ。2004年に入団して、そこから(生え抜き)野手のレギュラーがゼロっていうのがね。ゼロですよ。3年、5年、10年とレギュラーを張っている野手が。だから僕は就任する前に、こんなチームないでしょって言ってね。僕の仕事は勝つことももちろんだけど、それ以外にピッチャーもエース、クローザー、3番、4番を生え抜きで作りたい。そのチームで勝ちたいという思いがありますね」

 片岡「もう監督がおっしゃったように、その方針をコーチ、選手にしっかりと伝えていって。しっかりやるべきこと、やらないといけないことを選手に理解させてね。昨年のCSで負けたああいう悔しさを選手に味わわせないように、前向きに取り組んでもらえるように。そういうふうな指導をしていきたいです」

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