【聞きたい】背が低くて悩んでいます。１５０センチないです。雑誌で「いいなぁ」と思う服を着られないことが多く、悲しい思いをしています。おかげで、どこか卑屈になっているような気も…。松野さんはどう思われますか？（２５歳・女性）

　【答えます】私、身長１４８センチと言ってますが、本当は１４６センチしかないんですよ（笑）足のサイズは２１センチで、スーツは３号か５号。なかなかお店にはありません…。

　悩みはロングスカートがはけないこと。好きなのに、身長が低いと似合わないんですよ。パンツやタイトスカートも、小さく見えるからダメ。私はもっぱら、フレアスカートかワンピースです。実はロングヘアーに憧れて、５年間かけて髪の毛を伸ばしてきたんですが、結局、２～３週間前にバッサリ。何だかバランスが悪いんですよ。

　こんなこともありました。高校３年生の時、インターハイの九州地区大会３０００メートルで、優勝まであと２００メートルのところで強風にあおられて体が宙に浮き、バランスを崩してフィールドに入ってしまって失格。インターハイには行けませんでした。

　…と、いろいろ辛い思い出もあるのですが、私は５０年間、一度も身長が高い方が良かったと思ったことがないんです！陸上のトラックレースでは、突き飛ばされたり外国選手の肘が顔にバンバン当たったりすることがあって、よく「あと１０センチ背が高かったら…」と言われました。でも、私は背が低いからピッチ走法ができたし、世界と戦ってこられた気がするんですよ。

　むしろ、意外と得だなと思うことの方が多いです。人と同じことをしても「こんな小さい体でよく頑張ってる」と言ってもらえる！ちょっとうつむいただけで心配されたり…みんな優しいんですよ。私はあまり甘えたことがありませんが、フラフラッと甘えてもいいですしね。“女性の特権”を使ってうまく５０年、世の中を渡ってこられた気がするんですよ。悩んでも身長は伸びません。小柄な人生もいいですよ！

　◆松野明美（まつの・あけみ）熊本県出身、５０歳。８８年ソウル五輪女子１万メートル出場。引退後の０１年に結婚、２児の母。現在は熊本県議会議員。講演、タレントなど多方面でも活躍。デイリースポーツ陸上評論家。