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卵子凍結もひとつの方法 暗部も理解して精神的なお守りに

 「ジェンダー平等」が今年の流行語大賞にもノミネートされましたが、子供を「産む」「産みたい」というのは、まだまだ女性の悩みです。

 将来の妊娠に備え、若いうちに受精前の卵子を保存する「卵子凍結」が、最近話題になっています。私も後輩たちに「迷っているなら、やっておいたら?」と話しています。この人だ!と思うパートナーにまだ巡り合っていないとか、別れたばかりで次に交際するときには年齢が心配などという後輩も多く、将来的には子供が欲しいと思う女性にとってそれは方法の一つだと思うからです。

 私のなかで若手と言えば20代。でもいまは女芸人の「若手」といっても30代の子も多く、男性だと40代でも若手と呼ばれる場合も。これは芸人の世界だけではありません。働く女性が多くなり、女性が出産できる状況になる年齢が上がってきています。だからこそ、年を重ねたときに子供が欲しいと思うのであれば、卵子凍結も一つの方法ではないでしょうか。

 ただ不妊治療経験者としては、卵子凍結はバラ色の未来を保障されたものではないというのを理解しておいてほしいなと思います。私も不妊治療をしていたときは、治療すれば子供を授かるものだと思っていました。だけど開始する年齢が遅くなると、成功率も下がる。45歳を過ぎると、受け付けてくれない病院が多いのも又、現実なのです。

 受精卵より卵子の凍結の方がハードルは高いようで、融解が難しく、そこから授精、培養して子宮に戻し、それが定着するとなると、年齢や病院にもよりますが、確率は10~20%とか。不妊治療のガイドラインと同じで、やはり30代までの方の妊娠成功率が高いようです。

 また病院によっては、がんなどの病気で将来妊娠が難しい人のために「医学的適応」ならば卵子凍結はやってくれるけど、現在パートナーがいなかったり、仕事を頑張らないといけないから、将来的な出産のために今のうちに卵子を凍結しようという「社会的適応」には対応していないところも多いと聞きます。これはやはり実際に受精卵を着床させる年齢が上がると、成功率が低いからということもあるようです。

 現在、卵子凍結の費用等を一部補助をしてくる会社が出てきました。吉本興業でも是非取り入れて欲しいと思いますが。社会全体でリモートが進んでいることもあり、受診のために出社していなくても、同僚等にはわからない。さらに会社で補助してくれることで、卵子凍結や不妊治療などのハードルも低くなると思うのです。少子化が叫ばれているいま、社会ができる補助や援助は必要だと思います。そういえば菅前総理の時に声高に叫ばれていた「不妊治療の公的保険適用」はどうなったのでしょうか。それに甘えてもいけないのはもちろんの事ですが。最終的には自分の決断だし、自分の幸せなのです。

 採取の時はもちろん、凍結保存にも年間に何万円ものお金が必要です。成功するかどうかわからないものにお金がかかるのです。新しい技術や情報が出てくると、いいことばかりに目が行きがちですが、もちろん暗部もあり、大金を費やして何十個も採卵しても1個も着床せず、「残念でした」の一言で終わり、ということもあるのです。

 やはり妊娠・出産の何%かは、神様の領域であることは確かな事。絶対定着しないと言われていた状態の方が妊娠したり、逆にこんなにいい状態なのにという方が定着しなかったりというのは、私の不妊治療の時代にもよくあることでした。だから不妊治療経験者としては、卵子凍結はすべてがバラ色ではないということも又、きちっと認識してほしいと思います。

 私も長く不妊治療をして、子どもに恵まれることだけが人生の幸せのすべてではないということは体感しています。けれど人の幸せは千差万別。自分もそうだったから、望んでいる人には赤ちゃんを抱いて欲しいですね。そのために、ある種の精神的なお守りとして、その暗部を理解した上で卵子凍結を考えてもよいと私は思うのですが。

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