「なぜ美味しいか」食レポも時代と共に。ハイヒール・リンゴ「『まいうー』に勝るものなし!」

 「窯で焼くのが『ピッツア』、新鮮なイクラは『プチプチ』じゃなくて『とろりととろける』だ。」先日、あるタレントさんが自身の食レポのこだわりについてテレビ番組で語ったことが話題になりました。

 私自身は「へぇ、そうなんだ、なるほどなぁ」と素直に感心したのですが、ネット界隈では色々な意見が。ご本人が信念を持って言っていらっしゃる事なのだからそれはそれで良いと思うのですが。

 でも最近はリポートする「食」自体もすごく変わってきていると感じます。例えばトマト。トマトといえば昔はソースにする位で基本生食でしたが、最近ではおでんの具にトマトが出て来るのも普通。私も20年ぐらい前に台湾で「トマトと牛肉スープのラーメン」を恐る恐る食べた経験があるのですが、これが又すごく美味しかった。今では日本でも普通に食べられますが。

 実はこれってとても理にかなっていて、トマトのグルタミン酸は加熱すると増加。さらに動物性のグルタミン酸と植物性のグルタミン酸を混ぜるとうまみが増すことも科学的に証明されています。昔の人はそんな科学的な事は知らなくても、経験として昆布と鰹だしなどその組み合わせが美味しいと気付いて伝えてきたんですよね。

 食自体変わっているのだから、食レポも変わっていかなければいけないのは当然のこと。先日土用の日にデパ地下に行ったら鰻の蒲焼きがずらりと並んでいたのですが、この鰻も関西は腹開きだけど、関東は「武士の切腹のイメージがあるから背開き」という説が一般的に言われてきました。

 ところがこれに対しての異論を読みました。御存じの通り。関東は一度鰻を蒸してから焼くのですが、その時に腹開きだと身の柔らかい腹側に串を打たねばならず、崩れてしまうから、硬い背側に串を刺せる背開きになった、というもの。武士道でなく、当時の料理人の知恵ということですが、改めて言われるとこちらの方が理にかなっていて、納得してしまったのは私だけでしょうか。

 よく使われる「優しい味」も、元々は「特徴を表現しづらい味」をお店に角が立たないように表現した苦肉の策だったと聞いた事があるのですが、今では褒め言葉に。そもそも美味しいというのは完全に個人の主観で、美味しいと思う人もいればそうでない人もいるのですから、食レポでも断定するのは違うのだろうな、「あくまで個人の感想」ですものね。

 近頃のテレビ番組の食レポを見ていると味よりも先ず自分の「持ちギャグ」を言ってから、感想を並べる人もいますが、私なんかはギャグよりも先に味の感想を知りたいと思ってしまう方(苦笑)。そう考えるとホンジャマカの石塚英彦さんの「まいうー」は、芸人としてこの上を行くものはない!と思えるほどすごいですよね。感想でもありギャグでもあり。

 次々に新しい食材、そして料理方法が開発、編み出される昨今、簡単そうに見えて食レポの奥は深いのです。

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