「特別扱い」ではなく「普通にする」が大事なこと

 今年の「R-1ぐらんぷり」を制したのは、視覚障がいの漫談家・濱田祐太郎(28)だった。障がいをあえてネタに取り入れた漫談で、お笑い界に新しい風を吹かせた。彼の出現にハイヒール・リンゴが期待することとは…。

  ◇   ◇

 R-1ぐらんぷりで優勝した濱田祐太郎君、本当に素晴らしいと思いました。彼は目が不自由な若手のピン芸人なのですが、明るく悲壮感がない人です。

 今、地上波のテレビは“言葉狩り”みたいな状態。少しでも差別を連想させる事を言ったらすぐクレームがきて、場合によってはBPOに上がる。みんな萎縮してしまい「これ言うたらあかんのちゃうかな?」という状況になっています。そんな中で濱田君の登場は、大きく言えば今のテレビを救うかも知れないと思うんです。

 私も生放送では、この言葉言わんとこう、やめとこうって思ってしまう。するとボキャブラリーが少なくなるし、無難な言葉になるんです。でもそれは真実を伝える事ではない。だから彼が出てきた事で、みんなに気づいてほしい。「特別扱い」でなく「普通にする」というのはすごく大事だと。

 私は他人に「かわいそう」とはほとんど言いません。「つらいね」は言いますけど。病気を患っている方に「かわいそう」と言うのは、あんたどれだけえらいねん、何で上から目線なの?と思うから。病気になってつらいかもしれないけれど、そこから学ぶ事もあるかもしれない。だから決して「かわいそう」ではないと、私は思います。だから濱田君はかわいそうではないし、障がいを逆手に取り、芸人として上がっていってるすごいヤツだと思うから、もっと上を目指してほしい。

 ただ、彼自身も分かっていましたが、目の不自由な人が全員、彼と同じ考えではないでしょう。彼はいじってもらってうれしいタイプだけど、いじられて嫌な人も当然います。

 例えばR-1で「盲学校に黒板がある」とか「二度見した」とかの自虐的なネタが受けていましたが、もしそのネタに乗じて、心ないいじめに遭う人が出たら、濱田君は多分、あのネタができなくなる。今の地上波がそういうシステムだから。

 だから濱田君がそのシステムの突破口になってほしいし、なれると思う。ちょっと待って、と立ち止まるひとつのエポックメーカーになるというか。今は障がいをネタにしたものが多いけれど、それだけではなく色々な角度からの彼のネタやトークが見たいし、心の目で上を目指して伸びていってほしいと思います。

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